東京・目黒区にまた話題のお店がOPEN。その名前は「Patisserie Taisuke Endo」。昨今、ここまで大きなパティスリーがオープンすることが珍しい中で、学芸大学駅に7月4日にグランドオープンしました。まるでフランスのメゾンのような迫力ある店内。
オーナーシェフを務めるのは、フランスでの修行から帰国したばかりのパティシエ遠藤泰介さん。銀座で多くの人の心をつかんだ「パティスリー カメリア銀座」でシェフをつとめ、TV出演はもちろん、各メディアで引っ張りだこだった人物です。
その後はフランス・アルザスの地に渡り、「パティスリーカム」で修業。帰国すると、「遠藤シェフの新しいお店はいつできるの?」と出店を待望する声も多かったそう。実は遠藤シェフとスイーツメディアufu.(ウフ。)とは、深い関係にあり、今回はグランドオープン前に取材をさせてもらいました。
お店がオープンしたのは、東急東横線の学芸大学駅。新宿、渋谷、そして目黒区および世田谷区の各地からもアクセスもよい場所にあります。下町風情ある商店街を突き進むと、スタイリッシュな外観の「Patisserie Taisuke Endo」が目に入ります。
日本にありそうでなかった、フランスのメゾンのような佇まい。これは遠藤シェフの狙いだったと話します。
遠藤シェフ「学芸大学駅を選んだのは、この街並みも好きですし、この場所も凄く良かったんです。通りからの視認性もよくて、外から菓子が並んでいる感じとか、フランスのように焼きっぱなしのタルトが並んでいる様子とか、アントルメがある‟ワクワク感”を演出するには、凄く良い場所で。
お菓子がきれいに並んでいるだけだともったいないと思っていて、お菓子をもっと‟ワクワクして楽しめるもの”として、皆さんの毎日を彩れたらいいなと思い、見せ方にもこだわりました。」
お店に入れば、焼き菓子はもちろん季節のタルトやアントルメ(ホールケーキ)やヴィエノワズリー(パン)もズラリ。
そしてお土産のお菓子も充実しており、パッケージもスタイリッシュで今までにないデザインです。世田谷区の手土産の新定番になりそうな予感。
「お菓子をきれいに作ることはできるけれど、美味しそうに作ることは難しい」そう話すのは遠藤シェフ。ケーキは“飾り付け”にこだわるのではなく、思わず食べたくなる食感をそそる見た目、香ばしそうな焼き色が大切なのだとか。
お菓子が“美味しそうに見える”こと。それが遠藤シェフがフランスへ行って気づいたことなのだそう。焼きたてのフィナンシェはもちろん、その美味しそうな雰囲気はエントランス横にある作業が見えるゾーンにも。
そしてお菓子のラインアップについて。“遠藤シェフといえばコレ!”と言われるほど人気のマカロンをはじめ、サントノーレ、ミルフィーユ、パリブレストにタルトシトロンなど、フランス菓子を基本とした、かなりクラシックな構成。
そのクラシックなお菓子たちも、遠藤シェフに手にかかると新しい世界に。まさしく‟新フランス菓子”と呼べるクリエイション。
ラインアップの中でも、個人的に感動したのがこのミルフィーユ。リーフパイのような、じゃりっとした砂糖の食感を残しつつ、ほおばれば「はふっ」と崩れていきます。
ミルフィーユはパリパリとするものが多い中、空気を含んだような焼き加減が絶妙で、新食感の美味しさでした。このカスタードクリームも、シュークリームとはまた別の仕立てにしているほど、1個1個の商品に手間暇かけてこだわっているんだとか。
そのほかにもフランスを感じる「タルト・セゾン」も用意。「季節のタルト」を意味し、日本のタルトは苺やパイナップルにベリーなど、様々なものを詰め合わせてのせるものが多い中で、店の「タルト・セゾン」は季節のフルーツがしっかり主役になり、季節の移ろいを楽しめる一品に。
取材時のタルトは、フランスでも定番でこの時期おなじみの「リュバーブ」。エキゾチックな香りが特徴的な、西洋フキです。フランスらしいメレンゲ仕立てになっていました。
数ある中でも、特におすすめしたいのが、シェフのスペシャリテ。ひとつめは淡い色合いがキュートな「マリー・アントワネット」。ルイ16世の王妃マリーアントワネットをイメージしたケーキで、ナッツの女王と言われるピスタチオと彼女が愛したバラを組み合わせた構成。フランス生活の中で、遠藤シェフが作りたかったというケーキなんだとか。
使用しているのは、国産の「オペラ」という品種のフレッシュなバラ。ピンクグレープフルーツジュレの酸味と香りで、きれいにまとめ上げており、余韻を楽しめるケーキです。ピスタチオの香ばしさもいい仕事をしています。
続いて紹介するのは、遠藤シェフがアルザスのケーキコンクールにて準優勝したケーキ「テンダンスカフェ」。フランス生活の中で味覚の考え方含めて、どういうケーキが美味しく評価されるのかを考え、制作したケーキなんだとか。
構成は、黒糖のサブレに塩味を効かせたカシューナッツとコーヒーシロップを染み込ませたビスケット生地にガナッシュカフェが。そこにコーヒー味のクリームが入っています。コーヒーづくめでありながら、塩味もあり、コーヒー以外の香ばしさの余韻を感じます。
イートインできる席もあり、バリスタも所属するというこだわりっぷり。今後はイートイン限定メニュー等もやっていきたいと意気込む遠藤シェフ。
遠藤シェフの取材は、もうかれこれ4年になります。彼の生き生きとする姿はフランスでの生活を通じて、「どうやったらお客さんをワクワクさせられるか」「お菓子を通じて、どうやってみんなを幸せにするか」をずっと考えてきたんだなと感じました。
そしてその魂が全スタッフたちにしっかり伝わっており、活力みなぎる厨房は、ビリビリとそのパワーを感じ、圧巻でした。
遠藤シェフの新しいスタイルは、きっと多くの人を喜ばせてくれるでしょう。まだ30代の若いシェフでありながら、日本のトップを走るはず。ぜひ一度は食べたい、名店になるでしょう。
About Shop
Patisserie Taisuke Endo
東京都目黒区鷹番2丁目4−7 マンション鷹番 1階
営業時間:10:30~19:00
定休日:月曜日
Photo&Writing/坂井勇太朗(ufu.編集長)
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