日本で一番売れているチョコレート菓子「キットカット」。ウエハースのサクサク食感とミルキーなチョコレートの味わいで人気なのはもちろん、受験シーズンのラッキーアイテムとして、そして大人のブレイクタイム時のお菓子としても定番になっています。
今回はそんなキットカットを取材。なぜこんなに愛されるの?ずっと売れ続けているの?秘密を探るべく、マーケティング・竹内さんに聞きました。
イギリスで「チョコレートクリスプ」として1935年に発祥したキットカット。日本では1973年から販売され、今年で51周年を迎えるロングセラー商品。市販のお菓子の中でも50年を超えているものは数少ないとのこと。
1996年にはイギリスで世界初となるミルクチョコレート味以外の「キットカット オレンジ味」が誕生。1999年以降からさまざまな形状やフレーバーが世界で発売されるようになりました。
そんな歴史あるキットカットは、現在ではコンビニやスーパーで売られているだけではなく旅先などで手に入るご当地キットカットも大人気で、非日常問わずさまざまなシーンで愛されています。
一般的なチョコレートはバレンタインシーズンが一番売上が高いのに対し、キットカットは12月から売れ始めます。
それはキットカットのパッケージ裏面にあるメッセージ欄に秘密が。受験生を応援する人たちから受験生へ応援メッセージを書いて送る、ラッキーアイテムとして絶大な人気があるからなんだそう。
「九州の方言で“きっと勝つとぉ(きっと勝つよ!)”がキットカットに似ていることから、九州を中心に、1990年代後半から受験生の間で口コミで広まり始めました」と語るのはマーケティング・竹内さん。
最初はメッセージ欄がなく受験生の間で自然とメッセージのやり取りが生まれました。それをみた開発担当者がメッセージ欄を設けることに。いまでは恋愛、スポーツなど様々なシーンでお守りのような存在としても利用されていて、チョコレートの枠を超えてコミュニケーションツールとなっているのはキットカットならではです。
キットカット最大の特長は、ウエハースのサクサク感。チョコレートの中にウエハースが入ると、水分で湿気ってしまうがことが多い中、キットカットはサクサク感が保たれています。またサイズや味にもこだわりが…。
マーケティング・竹内さん
「サクサク感を維持するために、ウエハースの焼き方、発酵の仕方など、レシピにはコツが隠されています。大きさやチョコレートとウエハースの比率は世界基準があり守っていますが、チョコレートのビター感やウエハースのサクサク感は日本のお客様の嗜好やその変化に合わせて改良を重ねています。
味に関しては作っている工場によって違います。日本の場合は島国なので日本の工場で作っている商品は日本だけカバーしていますが、例えばドイツの工場で作っている商品はフランスやポルトガルなどでも販売していて、その国々の消費者の味覚を反映しています」
日本でも当初は4フィンガー(バーが4本連なった形状)が販売されていましたが、“手を汚さずに食べたい”という消費者の意見から2フィンガーが主流に。海外では8フィンガー、10フィンガーなどもあるのだそう。
キットカットの販売自体は各国と比較するとそれほど早くなかった日本ですが、フレーバー数は驚きの450種類以上! 海外でも類を見ない数を誇ります。
中でも一番人気フレーバーは抹茶。発売当初から販売されているスタンダードのミルクに次いで、2000年代から登場した“抹茶”が根強く人気があるのだそう。同じ抹茶でも“オトナの甘さ”シリーズや京都の老舗のお茶とコラボしているものなど、種類はさまざまです。
海外の方に人気があるのは、静岡のご当地キットカットである“わさび味”。本わさびの上品な辛さと、ホワイトチョコレートのまろやかな甘みのハーモニーがたまらない逸品。また一部のドン・キホーテでは主要のご当地キットカットを取り扱っており、いろいろなご当地の味を楽しめるそう。
従来の「キットカット」と形状が異なるクマ型キットカット「キットカット ハートフルベアー」。
マーケティング・竹内さん
「女性社員が“クマの形が可愛いよね”ということからクマのデザインになりましした。ウエハースを入れる技術を応用し、品質を保ちながら均等にチョコレートとウエハースを入れています」
キャラクター型のキットカットは、2018年から世界でテストを繰り返しているそうで、日本ではクリスマスにサンタクロース、バレンタインにクマの形が販売されています。ヨーロッパではイースターシーズンに合わせて、ウサギ型のキャラクター開発をしているんだそう。
日本では今年で51周年を迎えるキットカット。サイズやウエハースとチョコレートの比率は忠実に守り、日々日本人の味覚に合わせて改良を繰り返しています。キットカットならではの限界のないおいしさは、企業努力が詰まった賜物です。
About Shop
取材協力 / ネスレ
キットカット公式Instagram:@kitkat_japan_official
Takuma
ウフ。編集スタッフ
すべてが“本物志向”のスイーツ好き編集者。都内のパティスリーやホテルのカフェを中心に巡り、話題のお店はいち早くチェック。スイーツが好きすぎて、気づけばスイーツメディアの編集部に!
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