今年6月にOPENしたばかりの「simonne(シモンヌ)」は、お菓子とナチュラルワインのお店。お昼はお菓子屋さん、夜はデザートが“あて”のワインバーとして金・土・日の3日間の営業をしています。
ワインと、お菓子をカウンターで楽しめるその時間。朝と夜、「simonne(シモンヌ)」の二つ顔を取材してきました。
吉祥寺駅から、徒歩5分と最高の立地にある「simonne (シモンヌ)」。三鷹駅北口から徒歩10分の場所に「kuval(クバル)」というお菓子とフランス料理のお店があり、その姉妹店にあたります。そこでお菓子を作っていた久原さんが、新しくOPENしたこの「simonne (シモンヌ)」で腕をふるいます。
店内の装飾は、ライトの部分が泡立て器になっていたりと、シックでありながらも遊び心あふれる空間。
OPENは12時から。店内に入ると、ズラリと並ぶ焼き菓子。“お菓子を気軽に買いに来て欲しい”という想いもあり、クッキーはばら売りで販売していて、1枚から買える手軽さ。
焼き菓子がもともと好きだった久原さん。製造もしっかりやりたいと思ってラボ(厨房)を探していたところこの物件を見つけたんだとか。十分広い店内、“ここでお菓子の販売もしよう”と昼間はお菓子の販売と、そして“ナチュラルワインとデザートのペアリングを楽しんでもらいたい”という想いから夜はワインバーの2部制を決めたんだとか。
焼き菓子は、ガレット・ブルトンヌなど久原さんが修行してきたフランス菓子がベースであるもののスイス菓子のエンガディナー、そして英国のスコーンと国際色豊かなラインアップ。久原さんの“好き”がつまったお菓子がそろいます。
その他にも冷蔵ショーケースには、久原さんこだわりのバスクチーズケーキや季節のタルトも。バスクチーズケーキは、ワインにとっても合うテイストで、人気があるんだそう。「ナチュラルワインとお菓子という感じ。」そう話す久原さん。昼の時間で販売されているお菓子は、ワインにも合うものばかり。エンガディナーも合うし、ウィークエンドシトロンは白ワインにも合うんだとか。
夜になると、店内の雰囲気もガラリと変わります。椅子が並べられ、メニュー表も。席は予約できますが、空きがあればふらっと入ることもできるんだそう。
特筆すべきは、こだわり尽くされたナチュールワインの品質の良さと品ぞろえ。
先に紹介した三鷹の「KUVAL」のシェフで、久原さんの旦那様である久原 将太さんがこだわって仕入れているんだとか。オレンジワインをはじめ、品質のいいナチュールワインが揃うのでワイン好きにはたまりません。
そしてこのワインバーでは、目の前で作られるアシェットデセールを楽しめます。今回作っていただいのは沖縄マンゴーを使ったフランスの伝統菓子であるムラングシャンティ。昨今、高級なフルーツとなっている沖縄のマンゴーを使うなど、食材はしっかりこだわりたいと、久原さん。
アシェットデセールを目の前でやろうと思ったのはなぜか?その理由は「お客さんが喜ぶから」。普段なかなか見る機会のない、アシェットデセール。そんなデザートの世界をより身近に感じられ、初めて出来立てのデザートに触れ合う若いお客さんも多いんだとか。
そして夜の部で、知っておきたいのはノンアルコールのみがNGという点(グループ客で全員ノンアルコールがNG)。その理由を伺うと……。
久原さん「席は6席しかなく、このお店はあくまでワインバー。ワインバーなのに、スイーツだけが出てワインをあけられない。そうなっていくと、だんだんと本来のお店の目的や過ごして欲しい過ごし方とは違ってきてしまうので。ワインを一緒に楽しみながら、会話も楽しめたらと思っています。」
久原さん自身がお酒好きということもあり、デザートはすべて自然にお酒に合うように。デザートは甘さ以外の要素を主役にしていて、スパイス感、ハーブ感が際立ちます。
kuvalの時もずっとやっていたというパフェ。あまりにも凛々しく、美しいパフェ。そして価格帯は驚くほど安く、1杯1000~1500円程度。昨今はパフェ専門店に行くと2000~5000円以上してしまう。
取材当日はルバーブと赤しそ、クレームダンジュとバラのパフェ。トップに使ったバラは「さ姫」。ライチのアイスにクランブル、赤しそのソルベにバラの香りの泡で真ん中には赤しそのシロップに浸したサバランで構成しています。クレームダンジュはフロマージュブランに発酵生クリームを合わせてコクを出して作っているんだとか。
アシェットデセールだけではなく、なぜ本格的なパフェをやろうと思ったのでしょうか?
久原さん「私の中でパフェとアシェットデセールはニアイコールだと思っています。盛るのが皿かパフェグラスか。そんなに区別する必要ないかな?と思いパフェもメニューに。価格帯も、パフェ専門店に比べてワインバーで注文しやすい価格帯にしています。」
デザートとナチュールワインを堪能したところで、この「シモンヌ」という店名。その由来とは? 最後に久原さんに伺いました。
久原さん「二十歳の時の辻グループフランス校で、約10カ月ぐらいのフランスに留学していました。その学校でフランスが凄く想い出深く、学校の実習でクジ引きでつけられたあだ名が『シモンヌ』でした。
たまたまつけられた名前。フランス時代は濃い時間を過ごせて、その時のお友達もいて、自分にとって大切な時期だったんです。だからお店の名前にしました。」
料理もデザートも美味しく、取材中も気づいたら常連客に囲まれていました。一人で訪れた初めてのお客さんも、久原さんの温かみのある雰囲気にすぐ肩の力が抜けて、そこには談笑が生まれました。「このパフェだったらこっちのワインが凄く合います」デザートをあてにしながら、会話とワインを楽しめる。新しいデザートの楽しみ方を見つけてしまったかもしれません。取材帰りに外観の写真は、本当にその様子をわかりやすく映し出すことができました。ぜひ、気軽にふらっと一杯、久原さんに会いに行ってみて欲しい、そんなお店でした。
About Shop
simonne (シモンヌ)
東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目17−6
営業時間:12~15:00、17:00~21:00
定休日:月~木曜日
Photo&Writing/坂井勇太朗(編集長)
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