文具、玩具、革工房など職人文化が色濃く残る街、東京・蔵前。
このエリアにサンフランシスコ発のクラフトチョコレート専門店「ダンデライオン・チョコレート」があります。
世界のほとんどのチョコレートは安定した味とコストを求めて大量生産で作られている中、同店はクラフトチョコレートの先駆けとして、小ロットでワインより複雑になると言われているチョコレートの風味を探求し一つ一つ丁寧に作られています。
お店に入ると広がるチョコレート工房。2階には開放感あるカフェが併設されていて、休日には多くの人がこのお店に集まります。
今回はそんな「ダンデライオン・チョコレート」を取材。クラフトチョコレートの魅力、そしておすすめ商品を紹介します。
IT業界で起業家として成功を収めた、トッド・マソニス氏とキャメロン・リング氏が2010年に創業した「ダンデライオン・チョコレート」。
小さい頃からチョコレートが大好きだった両氏が、友人のガレージを借りてチョコレートの実験室を作ったのがこのお店の始まりなんだそう。
伝統的なチョコレートのレシピやコミュニティサイトでの情報を元に、チョコレート作りをスタート。その手作りチョコレートが話題となり、2013年にサンフランシスコにファクトリー併設のお店をオープン。
今ではサンフランシスコに4店舗、ラスベガスに1店舗展開されていて、絶大な人気を誇っています。
2000年代後半からアメリカでいち早くブームになったクラフトチョコレート。
そのクラフトチョコレートの先駆けとして、カカオ豆の選定から買い付け、そして選別からチョコレートバーを作る工程のすべてを、自社のファクトリーで製造されています。
ダンデライオン・チョコレートが掲げているのは「すべての人をハッピ―に」。
チョコレートについては、不当な労働慣行、賃金、労働条件、そして児童労働などが一部社会問題となっている中、カカオの産地に出向いて、生産者たちと対話し、いい関係を築いてからチョコレートを購入されている同店。
「生産者も含め流通している方、スタッフ、お客様までチョコレートが手に届くまですべての循環をハッピーに。そんな作り手の顔が見えるのを大事にしています。誰が作ったか、デザインはもちろん、どういう工程で作られたか、職人仕事を大切にしているのがダンデライオン・チョコレートのクラフトチョコレートです。」
と仰るのは、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンの鶴田さん。通常の二倍以上でカカオ豆を購入してるんだそう。
そしてもう一つの特長が“シングルオリジン”。
単一原産地のカカオ豆で作られるチョコレートのことで、カカオ豆の産地や収穫年、そしてプロファイラー(開発者)によっても味わいが違うのがポイント。
鶴田さん
「まずカカオ豆を輸入した際に、プロファイラー(開発者)が酸味や甘みなどチョコレートの味の方向性を決めます。ローストする時の温度の調整や、砂糖の入れるタイミングなど新しいカカオ豆が来るたびにテストを行っています。開発者の好みによっても味が変わるのもクラフトチョコレートの魅力です。」
味は揃えなくてもいい。シンプルな原材料から生まれる味わいの違い。大量生産にはない職人のこだわりが詰まったダンデライオン・チョコレートのチョコレートは職人気質を感じます。
そんなダンデライオン・チョコレートが日本に上陸。
春は桜、初夏は新緑がとてもきれいな区立公園の前にある「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ 蔵前」。
建物自体に歴史を感じるこの場所は、戦前使われていたと言われる倉庫だったそうで、古き良き雰囲気をできるだけ残すようにデザインされています。
1階はチョコレートファクトリーとスタンド。
カカオ豆からチョコレートバーになるまでのすべての工程を行っているこちらのファクトリー。本国のレシピをベースに、日本人に合うように砂糖の量を調整されたスイーツが並びます。
そして2階には解放感あるカフェスペースが広がります。カフェにファクトリーを併設しているのではなく、ファクトリーにカフェを併設してるところが特長。
お店に入った時に漂うチョコレートの香りから、ファクトリーの空間、そして自分の好きなお菓子を選ぶまで五感でチョコレートを楽しめます。
そんなライブ感満載のお店で食べられる人気商品「スモア」は、ぜひ食べてほしい一品。
キャンプやバーベキューのときに作るアメリカでは定番のスイーツ「スモア」。
マシュマロに串を刺して、焼いて、クラッカーなどに挟んで食べられるそうで、それを美しくアレンジしたのがダンデライオン・チョコレートのスモア。
スパイシーなサブレ生地の上にチョコレートを流し込んだ大きなマシュマロ、そして岩塩がトッピングされています。
ガナッシュは、ワインやウイスキーの樽香とフルーティーな香りを感じるグアテマラ産カカオ豆のチョコレートを使用。
自家製マシュマロのむっちりとした独特の食感、サブレ、ガナッシュ、岩塩が絶妙なバランスで口の中に広がります。
注文を受けてからバーナーで焼き上げているので、香ばしさもたまりません。
そしてこちらは、大きめのチョコレートチップがたくさん入ったクッキー「ダンデライオン・チョコレートチップクッキー」。
シグネチャーペストリーとして大人気だそうで、バターの優しい味わいにチョコレートのサクッとした食感は、子どもにもおすすめです。
蔵前店限定「クラマエホットチョコレート」も見逃せません。
NAKAMURA TEA LIFE STOREの静岡県産、無農薬・有機栽培のほうじ茶で香りづけした蔵前限定のホットチョコレートで、ほうじ茶の香りと軽くてマイルドのチョコレートが絶妙に混じり合います。
またカカオ産地の異なるチョコレートのフレーバーの違いを楽しめる一口サイズのスイーツがセットになったものや、ベトナム・エクアドル・マダカスカルの産地による風味の違いを味わえるブラウニーなどのクラフトチョコレート専門店ならではのラインナップ。
7月27日にアトレ吉祥寺にオープンした「The Market 吉祥寺」。
“チョコレートから生まれる多彩な商品が集合したマーケット”をコンセプトに、限定のオリジナルペストリー、コラボレーション商品などチョコレートの世界が広がる数々。
そしてテイスティングスペースが備えられているので、自分の好みのチョコレートバーをじっくり選ぶことができます。
チョコレート体験がさらに楽しくなる「The Market 吉祥寺」も注目です!
いかがでしたでしょうか。ファクトリーにカフェを併設された五感で楽しむクラフトチョコレート専門店。モノづくりに共鳴した異業種のコラボ商品もあるので、お店に入るだけでわくわく感が止まりません。シングルオリジンならではの魅力を堪能できるお店です。
About Shop
「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ 蔵前」
東京都台東区蔵前4-14-6
営業時間:10:00~19:00
定休日:なし
公式Instagram
Takuma
インスタグラマー
都内のパティスリーやホテルのカフェを中心に巡り、その美しい写真と丁寧な文章にファンも続々。パティシエ界や編集長も注目のウフ。スイーツ男子部第一号
Instagram(@k.takuma.happy)
Photo & Wrting / Takuma
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