どこか懐かしくて愛らしい、コロンとした形のレモンケーキ。一口齧ればじゅわっと広がるレモンの爽やかな香りに、虜になるファンも多数。
実はこのレモンケーキ、諸説はありますが日本発祥のオリジナルお菓子。1960年代に生まれ爆発的なブームになってから、何度もブームが再燃し、その度に進化しているんです。今回は、レモンケーキをこよなく愛し、facebookで「レモンケーキ部活動日誌」を発信している佐藤史江さんにお話を聞き、昭和から平成にかけてのレモンケーキ、そして令和のレモンケーキについて、その歴史を教えて頂きました。
<目次>
~はじまり~1960年代、レモンケーキ型の開発で大ブームに
~変遷①~1960年代の元祖「昭和レモンケーキ」
~変遷②~2010年代以降の「平成レモンケーキ」
~変遷③~進化を続ける「令和のレモンケーキ」
佐藤史江
レモンケーキ部活動日誌
「ケーキ屋さんのショーケースの端に佇むレモンケーキを見ると、愛おしくなるんです」と語る、筋金入りのレモンケーキ愛好家。2014年よりfacebookやInstagramに食べたレモンケーキを記録し続けており、その数600以上!
「レモンケーキはどんどん進化し続け、近年はグルテンフリーのものや和素材と組み合わせたハイブリッドなレモンケーキも増えてきました。お気に入りをぜひ見つけてください!」。
諸説ありますが、現在「レモンケーキ」と呼ばれている、レモン型のスポンジケーキが初めて日本で作られたのは昭和40年代ごろ。
「ブームのきっかけとなったのは、お菓子の焼き型などを製造する会社・千代田金属工業さんが、ケーキ屋さんから依頼を受け、レモンケーキ型を開発したことです」と佐藤さん。まず型が出来たことで、様々なパティスリーがレモンケーキをつくるように。
千代田金属工業の代表・吉田さんによると、「当時の社長が、本物のレモンから石膏で型を取って開発しました。なので、レモンの両端にあるヘタ部分の大きさが、左右で違うリアルな形になっているんです。開発当時から、今でもずっとこの形は変わっていません」とのこと。その後、パッケージメーカーと組み、販売用の包装紙や箱、ポスターなどをセットにして販売することで、評判になったのだとか。
そんな経緯で生まれたレモンケーキ。昭和から今に至るまで、各時代のレモンケーキを辿っていきます。
まず、最初に爆発的ブームとなった1960年代以降・昭和に発売されたレモンケーキ。どんなスイーツだったのでしょうか?
佐藤さん「昭和のレモンケーキは、レモンの香料を使用したシンプルな生地に、ホワイトチョコレートをコーティングしたものが主流でした。お洒落な手土産として人気が高かったようで、見栄えするような銀色や可愛い黄色のパッケージのものが多かったようです」
今でも味わえる、昭和から愛され続けるレモンケーキはこちら。
「レモンケーキ」菓子工房こまつや(群馬)/1,200円(5個入)
明治36年創業の老舗「こまつや」。しっとり焼き上げたレモンパウンド生地に、バタークリームを塗り、レモンチョコをコーティング。パリッと砕けたチョコからあふれるバタークリームが贅沢な一品。
公式サイト:https://komatsuya.shop/
「レモンケーキ」茂木一まる香本家(長崎)/270円(1個)
170年以上の歴史を誇る、長崎の名店「茂木一まる香本家」。まさに昭和らしい銀色のレトロな包装紙が目を引くレモンケーキ。オレンジピールの酸味とホワイトチョコの甘味のバランスがたまらない。
公式サイト:https://biwajelly.co.jp/
1960年代の爆発的ブームから数年経ち、しばらくレモンケーキ人気は収まったそう。しかしその後2010年代ごろに、平成版・二度目のレモンケーキブームが訪れます。
佐藤さん「平成になると、レモン感をより味わえるように進化していきます。生地には、レモンピールやレモン果汁をふんだんに使うようになりました。昭和では主流だったホワイトチョコのコーティングは、アイシングに変わったり、コーティングそのものが無くなったりと、レモンを際立たせるようなスタイルに。パッケージは多様化し、キャンディタイプや半透明フィルムのものが増えた印象です」
平成を代表するレモンケーキたちはこちら。
「レモンケーキ」島ごころ(広島)/1,250円(5個入) (c)島ごころ
レモンの街・広島県瀬戸田町の洋菓子店「島ごころ」の看板スイーツ。レモン果皮から作ったレモンジャムをたっぷり練りこんだ、瀬戸田レモンの香りを存分に楽しめるケーキ。コーティングはかけずにシンプルに。
公式サイト:https://www.patisserie-okumoto.com/index.htm
「レモンのケーキ」ノワ・ドゥ・ブール(東京)/324円(1個)
連日行列ができる人気ブランド「ノワ・ドゥ・ブール」のレモンケーキ。発酵バターやサワークリームにレモンの表皮と果汁を贅沢に合わせた生地に、アプリコットジャム、しゃりっとしたレモン果汁のアイシングをコーティングしたクセになる一品。
公式サイト:https://noix-de-beurre.com/
そして、令和となった2023年。レモンケーキの第三次ブームが来ると言われる昨今、どのようなレモンケーキが出現しているのでしょうか。
佐藤さん「令和のレモンケーキは、素材へのこだわりを強く感じるものが増えていますね。特定の産地や農家、無農薬のレモンを使っていることを打ち出すものが多く、専門店も増えました。また、米粉を使用したグルテンフリーのヘルシーなものや、酒粕を使用したものなど、ハイブリッドでワクワクするような進化系レモンケーキも登場しています!」
今味わいたい、令和のレモンケーキはこちら。
「レモンケーキ」Raison d’etre(レゾンデートル)(大阪)/400円(プチ2個セット)、420円(大1個)
レモンケーキ専門店「レゾンデートル」のキュートなレモンケーキ。国産レモン、北海道産の厳選バターを使用し素材にこだわった一品。しっとりもっちりの生地があとひくおいしさ。
公式サイト:https://tony-japan.co.jp/raisondetre-yotsubashi/
「檸檬と酒粕のけーくしとろん」大三萬年堂HANARE(東京)/486円(1個)
西新宿のホテル「ハイアット リージェンシー 東京」と老舗和菓子屋が手掛ける「大三萬年堂HANARE」のコラボレーション商品。地中海産のレモン果汁をたっぷり加えた生地に酒粕を加え、ほんのり和テイストに仕上げたユニークな味わい。
公式サイト:https://d3hanare.tokyo/
https://hyattregencytokyo-shop.com/
1960年代の誕生から今にいたるまで、レモンケーキの変遷を紹介しました。いかがでしたか?昭和のホワイトチョコレートコーティングのレモンケーキから、平成のレモン感を追及するレモンケーキ、令和のハイブリッドなレモンケーキまで、その種類はさまざま。ぜひ食べ比べてみて、お気に入りを見つけてみては?
まえなな
ウフ。編集スタッフ
住宅雑誌の編集者を経てufu.編集部に。あんこや抹茶味の和スイーツがとにかく大好き♡ 最近のマイブームはあんバターサンド食べ比べ。
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