日に日に暑さが増して、夏の到来をじりじりと肌で感じるこの時期。
今年は、夏休みやお盆休みを利用して避暑地に行こうと計画している人も多いはず。
そこで今回、東京・横浜から交通機関を使って2時間程度。手軽に行ける観光地として人気の高い箱根のとっておきスイーツを紹介します。
それは「富士屋ホテルのアップルパイ」。
約一世紀半もの歴史をもつ由緒ある空間の中で、素朴ながら多くの人々に愛され続けてきたアップルパイを食べるその時間はまさに至福。2020年にリニューアルオープンした「富士屋ホテル」で、やっと心からくつろげるようになった今こそ食べに行きたいクラシックな魅力を紹介します。
1878年に創業した「富士屋ホテル」は、箱根の山々に囲まれた宮ノ下にあります。数々の増改築を重ね、現在は7つの建物群からなり、そのうちの5つは登録有形文化財。創業当時から国内外問わず多くの来賓客を迎えてきたため、建物の多くは和洋折衷の趣が特徴的。
都心からも近く、良質な温泉と多くの人々をもてなしてきた一流のサービスで私たちを癒す「富士屋ホテル」には、語り継がれるエピソードが。それは、フロントカウンター横にある尾長鶏の彫刻と、作家で福祉活動家として知られるヘレン・ケラーとの物語です。
実はこの彫刻、ヘレン・ケラーが富士屋ホテルに滞在した際、ホテル近くの土産店で飼われていた尾長鶏とふれあったときの記念に作られたものだそう。盲ろう者だった彼女にとってこうした動物とのふれあいは、心の安らぎを感じる瞬間だったのかもしれません。
多くの人を癒した「富士屋ホテル」で同じく、多くの人から愛された「富士屋ホテルのアップルパイ」ができたのは、1915年。あの世界を熱狂させたイギリスのロックスター、「ビートルズ」のジョン・レノンも余暇の滞在時に好んで食べていたそうです。
こんがりきつね色をしたその見た目は、懐かしき故郷を思わせる素朴さ。中にはりんごのフィリングがみっちりと詰まっています。フォークとナイフで丁寧に崩せば、薄く焼き上げられたパイ生地がサックりと砕けて、リンゴはほろり。添えられたバニラアイスと温かいパイとの相性は言うまでもありません。
そして「富士屋ホテルのアップルパイ」の魅力は何といっても、このアップルフィリング。じっくりと煮込んだりんごは甘さを増し、シナモンを中心に使われるさまざまなスパイスの複雑な味わいが染みこんでいます。パイ生地に使用されたバターの芳醇な香りはとても上品。
時代や季節に合わせて少しずつ変化させているという「富士屋ホテルのアップルパイ」。それでも懐かしさを感じずにはいられないのはなぜ?という疑問に、“隠し味にママレードを入れているからかもしれませんね”と富士屋ホテルのスタッフが笑顔で教えてくれました。
しっかりとした味わいにぴったりなのはブラックコーヒー。アップルパイをぺろりと平らげた後は、残りのコーヒーをゆっくりと堪能すれば時間のことさえ忘れるほどです。
もしも既に箱根旅行の予定を詰めてしまった人には、「富士屋ホテル」の脇にあるお店「ベーカリー&スイーツ ピコット」がおすすめ。「富士屋ホテルのアップルパイ」はもちろん、同じく名物の「クラシックカレーパン」を購入することができます。
箱根の思い出を振り返りながら、美味しく食べる時間もまた、忘れられない夏の思い出になりそうです。
About Shop
富士屋ホテル(ラウンジ/ベーカリー&スイーツ ピコット)
神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
営業時間:【ラウンジ】9:30~17:30(ラストオーダー 17:00)/【ベーカリー&スイーツ ピコット】9:00~17:00(イートインは16:00まで)
定休日:なし
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