はじめの出会いは2019年10月。路地裏で見つけた看板にはデニッシュ専門店「Laekker（レカー）」という文字が。
“こんなところにパン屋さんが…？”なんて思いながらも、ありそうでなかったデニッシュ専門店に惹かれ一歩足を踏み入れるとそこには宝石のように美しいパンたちが並んでいました。今では行列も絶えなく、完売するデニッシュは続々。パン好きだけではなく、多くの人が訪れるこちらのお店。
以前の記事ではお店の紹介を中心に執筆しましたが、今回は店主の小出さんに取材してきました。お店のこだわりやほかでは食べられないバリバリ食感のデニッシュの秘密に迫ります。
元々パティシエだった小出さん。
辻製菓専門学校を卒業後、パティシエとして岐阜「ル・スリジェダムール」、東京「ラ・スプランドゥール」で経験を積み、代官山「パパアントニオ」ではドルチェを担当。その後は銀座「セントルザ・ベーカリー」、「breadworks 天王洲」などでベーカリーとして幅を広げていきました。
Q.この『Laekker』をOPENさせた経緯とデニッシュをメインにした理由を教えてください。
「もともとパティシエになる前からお店を持ちたいと考えていました。素敵なケーキ屋さんやパン屋さんがたくさんある中で、みなさんに楽しんでいただくにはなにかひとつに特化した方がいいと考えました。また特化することで、商品に対して時間をかけたり工夫できるのでは、と勤めていて思っていたことでした。
一人でやるのであれば、いろんな商品を取り扱うよりも絞った方がいいのではと考え、自分自身が好きだったこととデニッシュ専門店があまりないということもありデニッシュをメインにしました。
手土産だったりごほうびのスイーツだったり、楽しんでいただける形にできないかと考えていく中で今の形になりました。」(小出さん)
Q.代官山にお店を開かれた理由はございますか？
「以前働いていたイタリアンレストランが代官山にあったこと、いろいろなお店がある中で特化したお店であること、材料は国産のものを使おうと思っていたので商品や価格を受け入れてくれるところはどこかと考えたところ、代官山がイメージと合っていました。
大通りでやるよりというよりかは奥まったところでしっかりとものづくりができるところを探していて見つけました。」(小出さん)
Q.お店のコンセプトを教えてください。
「通りをのぞいたときにちょっと看板が見えて前まで見てみたら素敵なお店があるな…というヨーロッパの路地をイメージしました。」(小出さん)
Q.『Laekker』という名前の由来や名前をつける経緯を教えてください。
「Laekkerはデンマーク語で”おいしい”という意味を持ちます。
デニッシュはデンマークがルーツとしてあるというところでつけさせていただきました。」(小出さん)
Q.レカーさんのデニッシュは、他とは異なり繊細で美しい層の食感が特徴的だなと思いました。生地のこだわり、素材の部分のこだわり、焼き方のこだわりを教えてください。
「まず、北海道産の小麦と北海道産バターを使い、マーガリンやショートニングは一切使わないということ。
デニッシュは焼きたてじゃないとおいしくないというイメージを少しずつ変えていきたいという想いがあったので、お持ち帰りいただいておいしい時間をなるべく長い時間楽しめるように、しっかりと焼き込みザクザクっとした食感を出してます。
基本的にやり方は一緒で、シンプルに生地を丁寧につくるというところと焼き込みのところで、食感を出すために風を当てて水分をしっかりと飛ばすということをやっています。」(小出さん)
Q.合わせる素材で、生地の配合等は変えていらっしゃるのでしょうか？
「大きくは2種類に分かれています。
生地の配合はほとんど近く、形や焼き方、合わせる素材で変えて食感の違いを出しています。」(小出さん)
Ｑ.私が初めて食べた商品がヴァームデニッシュでした。食べたときにバリバリっとした生地からクリームが溢れ出てきて感動したのを覚えています。誕生秘話を教えていただけますか。
「なにか名物になるものがあったらいいなと思い、パティスリーで働いてたこともあり、持ち帰られる商品とは別においしい時間は短いけどに詰め立てでおいしいものをつくりたいと考えました。
シュー・アン・シュープリーズというシュー生地をパイ生地で包んだものがありますが、それが好きだったこともあり、デニッシュ生地で作ったらおいしいのではないか、存在しないなら作ってみようと思って作りました。」(小出さん)
Q.今はこのかわいらしく素敵な空間でやっていらっしゃいますが、シェフの今後の目標があれば教えてください。
「新商品を提供するスピードをもっとあげていきたいと考えています。ありがたいことに注文が入って、早めに切らしてしまうこともあり、生産する方にいっぱいいっぱいになってしまって新商品を考える時間があまり取れずにいました。
定休日を増やした分、購入できる日にちは減ってしまいますが新商品を提供できるように考えています。
もうひとつはECサイトを検討中です。
プレゼントで送りたいだったり、今日明日では食べられないものはないかとお客様から言っていただくことが多いので、EC限定商品を考えています。」(小出さん)
取材を終えて、改めてデニッシュへの想いやお客様がよろこぶことを第一に考えている小出さんを知ることができました。一人で切り盛りするのは大変ではないのか聞くと、「お客様の声を直接聞けるのはありがたいと思っていて、極力お客さんのリアクション見たい」と話していました。「厨房に入っていた方が効率はいいけど、お話をすることはものをつくることの醍醐味でもある」と話しておられました。常に食べる人のことを考えているのが伝わりました。
デニッシュを楽しむのはもちろん、ぜひ小出さんとの会話も堪能してもらえたらと思います。
About Shop
Laekker（レカー）
東京都渋谷区代官山町9-7 サンビューハイツ代官山1F
営業時間：10:00‐売り切れ次第閉店
定休日：月〜水（詳細はInstagramにてご確認下さい）
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