前回の記事では、ショコラティエとしての軌跡を取材させていただいた「プレスキルショコラトリー」小抜シェフ。今回はチョコレートが持つ面白さ、”発酵”というキーワードをもとに、取材を進めます。
まず、大前提としてチョコレートの原料であるカカオ豆は、収穫後に発酵させる。そのことを知らない方も多いですね。カカオ豆は、カカオポッドの中の「パルプ」と呼ばれる白い果肉に包まれていて、そのパルプを利用して発酵させます。その発酵よって出来上がってくる風味が変わります。
発酵について、かなり力を入れているのがインドネシア・エンレカンにカカオ農園を持つ「フーズカカオ」さん。カカオ豆を発酵ロット毎に使い分けて商品化。発酵によって変わる食べ比べを楽しめる取り組みをされています。僕もその発酵に興味を持ち、白ワイン・赤ワインの酵母菌を組み合わせたタブレットを販売しました。
うちで作っているチョコレートに「エンレカン・ルージュ 72%」(赤ワイン酵母発酵)、「エンレカン・ブラン 72%」(白ワイン酵母発酵)があります。世の中的にも珍しいチョコレートだと思いますが、どちらも果実の豊かなアロマの香りがするチョコレートになっています。一般的に。チョコレート×ワインは合わない、と言われることもありますが、ガナッシュにするとおいしく、僕はあえて「挑戦してみたい」と思い、発酵というテーマで作りました。
酵母を組み合わせて、作ることは簡単なことではないです。ワインも、品種によって味が大きく変わりますし、ワイン×チョコレートで「この味になります」とも言い難い。まだテスト段階、ともいえるワインの酵母発酵との組み合わせ。なぜそこに着目するかといわれると「ウチにしか、僕にしか出せない味」になるし、「チョコレートが持つ味の幅を無限に広げてくれる」面白い挑戦だからです。
食べてくれる人に、「酵母発酵のチョコって面白い。チョコってこんなに味が広がるんだ」と思ってもらえれば、嬉しいですね。最終、おいしければいいんです。
最後に、夏の人気商品でもある「グラニテ・ショコラ」についても聞いてみました。
「グラニテ・ショコラ」は毎年人気ですね。そもそも「グラニテ」は果汁やコーヒーやシャンパンを凍らせて、シャリシャリに砕いたフランスの氷のお菓子のことです。グラニテをチョコレートでやったらどうなるかな、これも興味本位で始めたものです。
今では夏場にみんな食べてくださいますね、もちろん今年も出すので食べに来てくださいね。
小抜 知博 Onuki Tomohiro
1988年福島県生まれ
「マ・プリエール」「ザ・リッツカールトン東京」を経て、2016年に「プレスキルショコラトリー 」をオープン。
カカオ豆から手がけるビーントゥバーショコラをはじめ、日本で古い歴史をもつワイナリー「まるき葡萄酒」などを有し、様々な素材とショコラのマリアージュを提供。
ジャパン・ベルコラーデアワード2012・2014年入賞
日経新聞全国フォンダンショコラランキング3位
ICAアジアパシフィック大会銀賞受賞
About shop
「プレスキルショコラトリー」
吉祥寺店
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-15-18 (MAP)
営業時間:11:00 – 19:00
定休日:火曜日・水曜日
淀屋橋店
大阪府大阪市中央区今橋4-1-1 淀屋橋odona 2F (MAP)
営業時間:11:00 – 19:00
定休日:無休(不定休)
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