2020年10月、佐賀県西与賀町に一軒のテイクアウト専門のスイーツ店「おやつやみみ」がオープンしSNSを中心にすでに話題に。佐賀県在住の方から教えていただき、今回お忙しい時間をぬって店主の青木さんに取材することができました。
今回佐賀まで行って、取材をしてくれたのはプリンインスタグラマーとして人気のpuddingirl1518さん。
お店があるのは、佐賀県佐賀市。お店は佐賀駅からバスで20分程のところにあり、今津下町バス停から降りてすぐです。
店長の青木理花さんがつくるお菓子はインスタグラムで予約販売告知をすれば1分以内に完売、県外での催事出店でも長蛇の列ができる人気ぶりです。
そんな「おやつやみみ」さんの中でも、人気が高くて自動販売機での販売でも話題になったのが「プリン」です。
お店の前に置いてある自動販売機。プリン以外にもここでしか買えない地方の飲み物が並んでいます。セレクトはすべて青木さんによるもので、自販機の飲み物を目当てに立ち寄られる方も多いんだとか。そんな自動販売機で販売され、人気なのがプリン。
プリンの種類は、「みみカスタードプリン」（写真上）と「なめらかプリン」（写真下）。それぞれの美味しさの秘密はもちろん、誕生の秘密など詳しく伺いました。
Qぜひ、プリンのこだわりを教えてください。
青木さん「おやつやみみで販売しているプリンは2種類あります。1つは素材のやさしい味わいを楽しめるやわらかめの『なめらかプリン』、もう1つはかための自販機でも販売している『みみカスタードプリン』です。一番のこだわりは素材の卵で、地元の“有明卵”を使用しています。有明海特有の海苔と酵母菌を配合した飼料を食べて育った鶏の卵で、ビタミン、ミネラル類等の栄養分をより豊富に含んでいます。鮮度も重視していて卵、毎週、直接、養鶏場まで行って仕入れています。
『なめらかプリン』はオープン以来、小さいお子さんから年配の方にも愛されている人気のおやつで、『みみカスタードプリン』はほろ苦いカラメルと少しかためのレトロ風なプリンです。召し上がっていただく際は、容器の周りを爪楊枝でぐるっと一周してお皿にだしてから食べていただくのをおすすめしています。自分でプリンをお皿に出す作業が楽しいと言う声もいただいています。」
Qお店のお菓子はプリンや焼き菓子がメインの印象ですが、ケーキではなく、その2つに絞った理由は何でしょうか？
青木さん「すべてが手作業での製造なので、一度に少しでも多く作ることができるのは、焼き菓子やプリンが一番かなと考えました。お客様に楽しんでいただけるよう、週に一度の店頭販売日の日には、その時によって違うケーキなどの生菓子も作って販売しています。季節のフルーツを使った生菓子はお客様にもとても喜ばれます。」
Q:自販機でのプリンの販売の理由を教えてください。
青木さん「 仕込みを行いながら販売が出来ればいいな、と思ったことがきっかけです。店頭販売の際、開店２時間程前から連日たくさんのお客様に並んでいただきました。ありがたいことなのですが、1人ではとても追いつかず、接客も家族の手伝いがないと営業できない状態が続いていました。そこで、少しでも1人でできる販売方法はないか、と考えたときに自動販売機の導入を考えました。ちょうどコロナ禍だったので、対面での販売を避けることもできる販売方法ということで、お客様にも喜んでいただきました。
自動販売機でのプリン販売は、購入した際に取り出し口に落ちてくる際に、プリンが崩れないようかたさを調整しながら、試行錯誤を重ねて、現在のプリンが完成しました。ありがたいことに“また食べたい”と何度も足を運んでくださるお客様が多くいらっしゃいます。」
Q.お店の名前の由来を教えてください。
青木さん「おやつやみみ、のみみ はフランス語のmimiから来ています。フランス語で『かわいい』という意味合いの言葉はいくつかあるのですが、中でもmimiは、恋人やペットなど『親しみのあるもの』に対して使用され『かわいい』の最上級とも言われています。たくさんの方に愛されるような親しみのあるお店にしていきたい、という思いをこめて選びました。」
Q.お店の名前にはかわいいという意味合いがあったのですね！ 口にmimiと書かれたくま以外にも他の動物のマスコットの絵もありますが、動物をキャラクターにされているのはネーミングと関連がありますか？
青木さん「“親しみのあるあたたかいお店”をイメージしたとき、お洒落でスタイリッシュなロゴにするよりも、小さなお子様にもすぐに覚えてもらえるようなキャラクターにしよう、と思いました。そこで、なにがいいかなと色々と考えていたところ、妹が落書きして描いたものを元に、私が考えたのがクマの“みみ”です。」
Q.フランス語のお話が出ましたが、フランスへは行かれたことがあったのですか？
青木さん「福岡の製菓専門学校で通っていたときに、フランスへ短期留学する機会がありました。美味しい料理やパティスリーをまわって視野を広げることが出来たのは大きな収穫でした。」
Q. 留学のご経験は現在のお菓子作りにどのような影響を与えていますか？
青木さん「お菓子の製造に関する技術や段取りを深く知ることが出来ました。福岡の製菓専門学校では、製菓実習は４人で協力しながらお菓子を作っていたのですが、留学先の製菓実習では1人で最初から最後まで責任を持ってお菓子を完成させるというスタイルでした。日本にいる時よりも実践的な学びを多く詰めたことは、現在の1人でお菓子を製造する中で活かされています。」
Q.日本とフランスの「おやつ」に対する価値観に違いはありましたか？
青木さん「フランスのお菓子屋さんは街のあちこちにあり、並んでいるお菓子も素朴な印象でした。また、街に暮らす人々が気軽に立ち寄られていて、人々の日常に溶け込んでいる印象を受けました。個人の意見ですが、日本ではどちらかというと、ケーキなどのお菓子は誕生日や記念日など特別な日に食べるというイメージがありました。
どちらも素敵な価値観ですが、私にとって『おやつ』はどちらかというと日々の生活のなかに自然にあるような、いつでも食べたくなるようなイメージです。
毎日、皆さんそれぞれ色々なことを頑張っていると思います。それでもすこし疲れた時や落ち込んだ時にも、おやつを食べて笑顔になることができる、ほっとできる時間を過ごすきっかけになるようなお菓子を作りたいと思っています。」
青木さんの想いのつまったお菓子は、どれも見ているだけでもほっこりします。写真のクッキー缶も、かわいらしい動物をモチーフに食べたときの優しい甘さ、素材の美味しさ、すべてが美味しいという言葉だけではなく、気持ちまで潤うような美味しさです。最後に今後の青木さんの目標も伺いました。
Q.最後に、今後の目標や、挑戦してみたいことを教えてください。
青木さん「これからも皆さんにほっとしていただけるような、心あたたまるようなお菓子を作っていきたいです。『製造人数を増やして、製造数を上げていった方がいいのでは』という声もありますが、私は自分のできる範囲でこれからもやっていきたいと思っています。
今のお店でやりたいこともあるので、まだまだ先になるとは思いますがイートインが出来るカフェもいつかやってみたいですね。先日、目標の一つでした福岡の催事に出ることができたのですが、たくさんのお客様にご来店いただき、喜んでいただけたので、とても嬉しかったです。今後も佐賀だけにとどまらず、県外のお客様にももっと喜んでいただける機会を作っていきたいです。」
今春は博多阪急の催事にも出店されるようです。口にするとほっとする理花さんのお菓子はファンが増えていくこと間違いなしです。ぜひ東京での催事があれば出店いただきたいですね！
About Shop
おやつやみみ
佐賀県佐賀市西与賀町厘外1596-11
営業時間：インスタグラムで要確認(毎月変更有り)
自販機プリン毎週金曜日 12時〜完売まで
ネット予約制販売：土曜日予約受付、日曜販売
※販売情報は随時変更があるため、公式インスタグラムを必ずご確認ください
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Photo&Writing／puddingirl1518
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