予約困難なレストラン、知る人ぞ知る名店、大人のバーetc. 今までメディアでも掘り下げてこなかった、大人のための秘密のスイーツをお届けする連載、鈴木セイラ『金曜日、秘密のデザート』。ナビゲーターは、元東京カレンダー勤務で大人の隠れ家を知り尽くす美女・鈴木セイラさん。
今回ご紹介するのは、2023年3月にオープンしたばかりの新店、会員制&住所非公開の「Constellation.」(横浜)。昼はデザートコース、夜はパフェを中心としたスイーツバーです。Twitterやブログなど、SNSで人気のオーナーパティシエ・小北シェフ(こっきー)を中心に、4人のパティシエとバーテンダーの才能がカクテルのように交じり合い、織りなす食体験。早速ご紹介していきます。
横浜・日本大通り近くにお店を構える「Constellation.」。会員だけに教えられた住所、雑居ビルの2階に上がると、怪しげな光を放つ鏡のアートと、「88」を組み合わせたお店のロゴが。フェイクのような隠し扉を開けば、バー空間へとつながる長い廊下。少し不安な気持ちになりつつも、バー空間に辿り着くまで心拍数は高まるばかり。
そして辿り着いたのは、アーチ窓から降り注ぐ木漏れ日と鮮やかなライトが交差するバー空間。4人のパティシエとバーテンダーが、爽やかに出迎えてくれます。席数は、9席のカウンターに1つのテーブル席と比較的コンパクト。
今回の取材は夜ではなく夕暮れ時でしたが、刻々と陽が和らいでいくこの時間もまたロマンティックな雰囲気。店内をぐるりと見渡せば、星が瞬く夜空のようなアクセントウォールに、カウンターの奥にズラリと並ぶお酒、パティシエが繊細に組み立てていく芸術のようなデザート。座るだけで酔いしれてしまいそう。
店名である「Constellation」の意味は、“星座”。星座の“素晴らしいもの、美しいものの集まり”という概念がお店にぴったりであること、またオーナーパティシエ・小北シェフとバーテンダーの原さんの生まれ年が1988年で、星座が全部で88個あるというところから、不思議な巡り合わせを感じて、店名として選んだのだとか。
「Constellation」では、お昼にデザートコースとペアリングドリンク、夜にパフェとペアリングカクテルを楽しむことができます。パフェもコースも、季節のフレッシュフルーツを始めとした厳選素材を使った今しか食べられない月替わりの限定メニュー。今回頂いたのは、5月の季節のパフェ「メロンとキウイのパフェ」。
旬のキウイとメロンを中心にスパイスを組み込んだ、後味爽やかな逸品。ミントのマリネやメロンとブラックペッパーのグラニテに、カルダモンのクランブル、レモンのジュレ、ヘーゼルナッツのプラリネ、バニラムース…など、想像がつかないほど複雑に味わいを重ねた、魅惑のパフェです。口の中で少しずつマリアージュしていけば、思わずため息が出る美味しさ。
季節のパフェは、弱冠23歳の若きパティシエ・森シェフが担当。大阪のフルーツパーラーでシェフパティシエとして働き磨いた腕と、音楽や読書を嗜み研ぎ澄まされた感性で、今までにない独創的なパフェを生み出しています。
バーカウンターの目の前で繰り広げられるシェフのパフェ作りは、まるで絵画を描いているかのような美しさ。このライヴ感も、何度でも通いたくなる理由のひとつ。
他にも名物となっているのは、月替わりのショートケーキパフェ。これがショートケーキ?と、名前からは想像のつかない姿ですが、フルーツにシャンティ、ジェノワーズと、ショートケーキの要素をそのままパフェとして再現したデザート。横浜がショートケーキ発祥の地であることにインスピレーションを受け、作られたのだとか。
5月のフレーバーは「マンゴー」。こちらもフルーツの香りを活かした初夏らしい逸品。
パフェ作りの最後には、液体窒素の入れたメレンゲをトッピングし、フィナーレ。
グラスの中身は、パッションとマンゴーのソースで合えたマンゴーマリネに、ジェノワーズのアイス、ミントのクレームブリュレ、ジャスミンのジュレ、ラムレーズン、カルダモンアイス、マンゴーアイス…と、こちらもフレッシュなアイスにスパイスを効かせた、奥深い構成。
さらに半月型のクッキーを土台に、一口サイズのデザートをぐるりと半周トッピング。このパフェだけで様々なスイーツを味わえるビュッフェのような演出に、女心がくすぐられます。カルダモンやジャスミンの香りもアクセントになって、スプーンが止まらない仕掛け。
パフェと共に頂けるスペシャルなペアリングカクテルも、メニューに合わせた月替わりを用意。昼も夜も楽しめます。5月のカクテルは、ほろ苦い薬草系のリキュール・シャルトリューズに、ジン、ローズマリーを合わせた甘くスパイシーなフレーバー。
爽やかな5月のパフェとマリアージュして、うっとり酔いしれるのは格別なひととき。もちろん、その他ワインなども味わえます。
そしてお昼の営業で味わえるのは、月替わりのデザートコース。コースには、お店のコンセプトである「“美味しい”を超えた食体験」を表現した、思わず心躍る仕掛けを組み込んだメニューになっています。
今回は4月と5月のコースから一皿ずつ頂きました。
サーブされた白い器を開けた瞬間、バニラの香りがふわりと宙に広がる。視覚も嗅覚も刺激され、食べる前から食欲をそそり、一気に優雅な気分になれるこの一皿。
こちらは4月のコース「春光」より、タヒチ産バニラのフラン。(※フラン=プリンやムースのような、滑らかなフランス菓子)わらび粉で炊いたベシャメルソースがかけられた、甘く濃厚な逸品です。
口の中に入れた瞬間、フランはすぐにとろけて消えつつも、口の中にはバニラの余韻。スプーンを進めつつ、「こんなに美味しいデザート、食べたことない」と思わず顔が綻ぶセイラさん。
そして5月のコースからは、フルム・ダンベール(ブルーチーズ)のクレームダンジュに、バナナのサバイヨンをかけた一皿。
クセのある複合的な味わいのチーズに、バナナや蜂蜜の甘みが重ねられ、見た目からは想像がつかない味。「何が入っているんだろう?」とスプーンを進めているうちに、いつの間にか終わってしまう幻のようなデザートです。
食べ終わった一皿を惜しむ気持ちを噛み締めながら、「次はどんな一皿?」とワクワク待ってしまうのもまた、「Constellation.」の魔法にかけられた証。
横浜の住所非公開スイーツバー「Constellation.」が創り出す、星空の下で魔法にかけられるような食の体験。会員になった人だけに許される、まさにスペシャルな時間です。お店の新規会員は、公式Instagramにて不定期募集しています(@sweets_bar_constellation)。
「『美味しい』という感情を、食べるものだけでなく、空間や雰囲気などの+αから設計していきたいんです」と語るオーナーパティシエ・小北シェフ。次回はパティシエであり経営者でもある小北シェフの想いを始めとした、深堀りストーリーをご紹介します。お楽しみに。
※メロンとキウイのパフェ、5月のデザートコースは5/1〜5/30まで
※個室あり。Tablecheckより事前予約を。(応援購入サービスMakuakeのBLACKと年会員は個室無料、通常会員の方は別途5000円)
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Constellation.
住所:完全非公開
定休日:水曜日
@sweets_bar_constellation
Photo/Cream Taro Writing/Nanako Maeda
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