ufu.がお届けする6月のパフェ大特集。今月のコンテンツで、パフェが好きな方、また興味を持ってくださる方にお届けする「パフェ学」。
教えてくださるのは、「パフェ本」(小学館)、「東京パフェ学」(文化出版局)など、数々のパフェ本の著者である、パフェ評論家の斧屋さん。第一回目は、「パフェの2つの思想」。
多種多様化する現代のパフェにおいて、パフェのまず知っておくべき大きな傾向を紹介します。
パフェをある基準によって分けることで、今まで意識していなかったパフェの傾向が見えてきます。
パフェは、大きく分けて2つの思想に分類ができると斧屋さんは言います。その2つとは「パティスリー系パフェ」と「フルーツパーラー系パフェ」。
「フルーフ・デゥ・セゾン」
写真を見るだけで、その特徴がよくわかる「フルーツパーラー系パフェ」。そこには、フルーツを美味しく、魅力をダイレクトに表現するためのパフェという考え方があります。そのため、フルーツ以外の素材を極力省き、果肉はフレッシュでの使用が中心です。
「プリンス オブ ザ フルーツ」
また、フルーツをできるだけ大きくカットし、皮や種も含めそのまま飾りつけることもしばしば。フルーツにかぶりつき、みずみずしさをそのまま楽しめて、フルーツの美味しさをしっかり感じられる、そんな盛り付けも大きな特徴です。
そして フルーツを「アイス」「ジュレ」「ソース」などさまざな形に変えて使用する点も魅力です。
あくまで、フルーツが主役であり、フルーツをよりおいしく、魅力を楽しむ手段としてのパフェという関係になっています。
そんな「フルーツパーラー系パフェ」と対照的なのが「パティスリー系パフェ」です。
「EMME」
洋菓子屋のパフェは、果物、ナッツ、アイス、クリーム、ムース、ジュレまで、幅広い材料、そしてそこから作られるパフェの各パーツの組み合わせを重視します。一緒に食べることでおいしい、あるいは次々と移り変わっていく味わいが楽しいということになります。そのため一つ一つのパーツは小さく、複数の素材が同時に口の中に入るようになっています。
「カフェひとあし」
果物をフレッシュで使用することももちろんありますが、大きな特徴としては果物をコンポートにしたり、砂糖で煮詰めてコンフィチュールにしたり、クランブルやチップにしたりetc.「パフェの材料の一つ」として、さまざまな技術と手法を駆使します。
またハーブやお酒類など、さまざまな香りの要素とのマリアージュも楽しめるのが大きな特徴といえます。
パティスリー系のパフェには、果物や菓子を、様々に手を加えて組み合わせたり、重ね合わせてパフェとして創り上げる「足し算の思想」があります。フルーツはあくまで、美味しいパフェを構成するうえでの1つのパーツであり、1つの要素として存在します。
この2つの傾向を踏まえてパフェと向き合うと、よりパフェを楽しめるようになるかもしれません。
最後に、ここ数年見られる新傾向の面白いパフェを紹介します。
スプーンとストローで食べたり飲んだりするタイプのパフェ。(現在販売されていません)
「浅草よろず茶屋444」
かき氷とパフェの融合。上の部分が氷になることが多いそう。
「TSUBASA COFFFEE」
エスプレッソをかけてわたあめを溶かすパフェ。他にもチョコソースでチョコの板を溶かすなど、エンタメ性のある仕掛けを用意したパフェが増えているそう。
いかがでしょうか? パフェへの理解度を深めるパフェ学。今回は多種多様なパフェの傾向を学ぶことができました。次回は「器でわかる2021年のパフェの進化と帽子型パフェ」をお届けします!
教えてくださった方
パフェ評論家/斧屋さん
Profile
ライター、パフェ評論家。「パフェはエンターテインメント」として、パフェの面白さをたくさんの人に伝えるために、雑誌やラジオ、トークイベントなどで活躍中。「パフェとは何か」、「パフェの魅力とは何か」について探究する座学中心の勉強会(講座・ゼミ)「パフェ大学」も開催。著書に「東京パフェ学」(文化出版局)、「パフェ本」(小学館)。
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