“原点回帰”から始まった板チョコシリーズの第2弾!
今回は個性的なフレーバーが魅力的なチョコレートバーを中心に、5つのビーントゥーバー・ブランドを紹介します。カカオ豆にこだわった上で、あえてフレーバーを足す贅沢さ。カカオ豆だけでは広がらない、個性や表現を追求したブランドはビジュアルも最高にクール!
フランス人がベトナムで作るチョコレート「MAROU」や、瀬戸内を愛する広島尾道の「ウシオチョコラトル」、フィリピン初のビーントゥーバー・ブランド「THEO&PHILO」などなど。国もコンセプトも全く異なるチョコレートブランドたち。でも、それぞれが自らの美味しさを追求しているところが共通点♡
個性的で、美味しい。舌鼓を鳴らしまくりの“美しい板チョコの世界”をいっき見です!
〈目次〉
・挑戦的な味にハマる!フランス人が作る、ベトナム産のチョコレート「MAROU(マルゥ)」
・瀬戸内にチョコレート旋風を起こし続けるセンスの良さ。「ウシオチョコラトル」は食べるより感じろ?!
・“いいもの、すきなもの”をチョコレートにも。「Little MOTHERHOUSE(リトルマザーハウス)」の生カカオ豆の入ったホチョコレート
・特産物を活かしたフィリピン初のチョコレートブランド。その名も「THEO&PHILO ARTISAN CHOCOLATE(テオアンドフィロ・アルチザンチョコレート)」!
・お洒落なのは家具だけじゃない。北欧リトアニアで生まれたチョコレートは旅をしたくなる味。「Chocolate Naive(チョコレートナイーブ)」
「キャンディード ジンジャーメゾン マルゥ フィアンティーヌ」(左) 「ミルクチョコレート48%」(中) 「ジンジャーライム & バリア69%」(右)
チョコレートブランド「MAROU(マルゥ)」は、二人のフランス人が偶然、旅先のベトナムで出会ったことから始まります。創業者は、元大手広告代理店と、元銀行員。
チョコレートとは縁もゆかりもなかった二人が作る味は凄く挑戦的です。
理想のカカオを求めて、創業者自ら産地に足を運んで見つけたカカオ農家。現在、6つの地域のカカオ農家と直接契約をしています。作っている「MAROU」チョコレートはカカオの個性を活かした“オリジナルブレンド”と“シングルオリジン”。気候や土壌、土地の違い(テロワール)がカカオ豆に反映され、チョコレートタブレットの味の核を作るそうです。カカオ豆はベトナム内で製造され、チョコレートへと姿を変えます。
「MAROU」チョコレートは味だけでなく、パッケージのデザインも挑戦的な魅力があります。
ユニクロがベトナムへ進出するときのブランド・クリエーションも務めた「rice studio」がデザインを担当。「MAROU」創業者の母国フランスらしい繊細さと、エキゾチックなベトナムへの憧憬を感じます。ディテールの美しい包みは、わざわざノリを慎重に剥がして保管しておきたくなるほどです。
直接チョコレートを包む紙は金色。“「MAROU」のM”のシールで封がされ、異国からの手紙を受け取ったようなワクワク感があります。
今回食べたのは「ジンジャー&ライム・バリア69%」。
ガツンとくる風味と酸味に驚かされる、スパイシーなフレーバーチョコレートです。
バリア産のカカオに、同じくバリア産のジンジャーとライムを使用したダークチョコレート。口に入れた瞬間にジンジャーの風味が口いっぱいに広がります。ライムの酸味とジンジャー独特のピリリとした味は、ダークチョコレートの苦みによく合います。
後味にはほのかに塩味が。後味をすっきりまとめ、南シナ海の潮風を感じているようです。
刺激的なだけではなく、カカオ豆の産地ベトナム東南部バリア地方の魅力が詰まったエキゾチックな味。すっきりとした浅煎りのコーヒーに合わせて飲みたい
ジンジャーライム & バリア69% 1,458円(税込)
About Shop
MAROU
公式インスタグラム:@marouchocolate.jp
「ウシオチョコラトル」は日本一破天荒なチョコレートブランド!
広島の尾道にあるチョコレート工場で作られる「ウシオチョコラトル」のビーントゥーバーチョコレートは、「食べるチョコレートから感じるチョコレートへ」を合言葉に作られています。
ブランドの創業者は、シンヤさん、やっさん、A2Cさんの3人。そして自ら「クレイジー」と称するメンバーで作るチョコレートは、コンセプトも味も奇々怪々。
それでいて、使用するカカオ豆への余念がないのが、「ウシオチョコラトル」の魅力です。
カカオ豆の焙煎から製造・販売まで、すべて自分たちで行うのはもちろん、ビジュアルへのこだわりも、クレイジーさ全快!20以上に及ぶチョコレートの種類には、全て異なるオリジナルジャケットが起用されています。デザインは、異なるバックグラウンドを持つ人たちによるもの。
ホームページ内では自分たちのチョコレートのことだけでなく、カカオ原産国グアテマラへ行き、1つの農家と家族を長期にわたって取材、発信しています。
ホームページを訪れると感じる、カオスなのにお洒落にまとめてしまうセンス。“自分たちが作るチョコレートに絶対的な自信があるから、本気でふざけられる”そんな、チョコレート作りを楽しんでいる気配がプンプンします。
今回食べた「きびブレンド」は瀬戸内の魅力を詰め込んだチョコレートです。現代アートの島、直島で作られた天日塩を練りこんだチョコレート。タブレットを香ると、ダークチョコレートの深くしっとりとした香りが。食べると、チョコレートの苦みと、天日塩のミネラル感が印象的です。後味には、苦みの中に酸味がほのかに残ります。
パキッと割ったときに出てくる白い粒の正体は、“きび”。食べた時のアクセントになります。 小さく割ると塩味を強く感じ、大きく割るとマイルドさが増加。
一枚のタブレット内でころころと表情を変えてゆくところは、まるで桃太郎に登場する個性的な動物たちのよう!
そして、ジャケットに描かれている桃太郎と犬がこちらを見る、何とも言えない顔! 味と視覚で訴えてくる童話「桃太郎」の世界観にくすっと笑ってしまいます。
「きびブレンド」以外にも、たくさんのチョコレートを作る「ウシオチョコラトル」。
ホームページの紹介文もとっても個性的です。
チョコレート選びに迷ったときは、“面白い!”という感性で選ぶのが正解!
きびブレンド 1,026円(税込)
About Shop
ウシオチョコラトル
広島県尾道市向島町立花2200
営業時間:9:00 -~17:00
定休日:火曜、水曜
公式インスタグラム:@ushiochocolatl
もともとアパレルブランドを中心に展開していたマザーハウスが2021年から始めたチョコレートブランド「Little MOTHERHOUSE(リトルマザーハウス)。““途上国から「食」の可能性を世界に”という理念のもと作られたチョコレートは、インドネシア・スラウェシ島から美味しさと共に、いのちと、思いと、文化を運びます。
ライフスタイルの中に“いいもの、好きなもの”を取り込みたい。そんな方におすすめのチョコレートです。
「Little MOTHERHOUSE」のチョコレートは、全てインドネシア・スラウェシ島の契約農家で育てられたカカオ豆から作られています。本来もつ芳醇な香りを活かしつつ、カカオ分の多いビターや、ちょうどいい甘さのミルク、ホワイトチョコレートからつくられるイロドリ豊かなシリーズなど、作るチョコレートによって配合を変えているそう。
インドネシアのカカオ豆を楽しんでもらうために「Little MOTHERHOUSE」が生み出したザクザクとした食感とカカオの風味が楽しい「カカオエッグ」。生カカオ豆一つ一つにチョコレートをコーティングしたものを砕き「インドネシアオリジンズ」に振りかけているそうです。
「インドネシアオリジンズ ホワイト」は、カカオを現地で圧搾しカカオバターにしたものを、独自に配合したレシピでホワイトチョコレートをつくっているそう。
カカオエッグのさわやかな酸味が、カカオバターの油脂のしつこさをマイルドな印象へ変えます。また、後味にホワイトチョコレートの華やかな風味が鼻から抜けてとってもさわやか。
アグロフォレストリー農法という、多様な農林作物を共生させながら育てたというインドネシアのカカオ豆は、味も香りも伸び伸びとした印象。気候変動に対するリスクヘッジや、現地の人々の生活を意識した農法は、味にも良い影響をもたらすんですね!
インドネシアオリジンズ ホワイト 1,620円(税込)
About Shop
Little MOTHERHOUSE
マザーハウス全店、ジュエリーマザーハウス本店、E.全店にて販売
公式インスタグラム:@little_motherhouse
「THEO&PHILO ARTISAN CHOCOLATE(テオアンドフィロ・アルチザンチョコレート)」は、栽培から製造まで、全て自国で行われているフィリピン初のビーントゥーバー・チョコレートブランドです。
カカオ豆の品質で最も重要なのが、現地で行われる発酵から乾燥の工程だそう。発酵することで余分な苦みや渋みが減り、香りや味わいを生み出します。「THEO&PHILO ARTISAN CHOCOLATE」(以下「THEO&PHILO」と表記)は、このカカオ豆が育つために理想的な環境が揃ったフィリピンで、工程をコンプリートさせたチョコレート。
フレーバーチョコレートは、マンゴーやコーヒー豆、ナッツなど、現地で収穫された特産物を使用。現地だから気に掛けられる些細な違いや、食文化を反映したタブレットチョコレートは、驚くクオリティです。「ローカルの美味しさってチョコレートにもあるんだ!」と気が付かされます。
今回食べた「PILI NUT & PINIPIG(ピリナッツ&ピニピグ)」はミルクチョコレート。
食べた時のコリコリとした食感の正体はシロップがけしたピリナッツです。ピリナッツとは、フィリピンのビゴール地方でのみ安定収穫できるスーパーフードで、現地ではスナックとして親しまれているそう。
また、粉末にした“ピニピグ”というもち米の一種も入っているそうです。全てローカルで作る長所を徹底的に活かした材料選び。同じ土地で育ったものは、もともと相性が良いと言われています。「PILI NUT & PINIPIG」も、味のまとまりが良くとっても食べやすい印象です。
ビーントゥーバーの多くが、甘さや材料を極限まで抑えて、芳醇なカカオ豆や微細な違いを表現している中で、「PILI NUT & PINIPIG」は子供も好む甘さとミルキーな後味があります。そして、コリコリっとしたナッツの食感。たまりません!
どこか子供時代の懐かしい記憶を思い起こさせる。そんな魅力が「THEO&PHILO」にはあります。
ビターチョコレートより、ミルクチョコレート派のみなさん。ビターチョコレート好きじゃないと大人じゃないなんて思わず胸を張って!自分の美味しいを追求していきましょう♡
PILI NUT & PINIPIG(ミルクチョコレート・ピリナッツ&ピニピグ) 864円(税込)
About Shop
THEO&PHILO ARTISAN CHOCOLATE
公式インスタグラム:@theoandphilo.jp
北欧に位置するリトアニア。ショコラティエのドマンタス・ウジュパリスが創業したチョコレートブランド「Chocolate Naive(チョコレートナイーブ)」は、フレーバーチョコレートで有名なビーントゥーバー・ブランドです。
リトアニアの食材を使用したフレーバーや、赤道地域をテーマにしたシリーズなど、着目点がとても個性的。その個性は味や、視覚にもしっかり反映されています。
テーマ別に分けられたパッケージデザインには、よく見ると絵柄に合わせて、厚紙が立体加工されています。
4方面にパタパタと開けるスタイルで、内側にチョコレートの特徴やオススメのペアリングについての記載が。食べる前から興味を引き付ける仕掛けが満載。
今回紹介する「サワーソップ」は、カカオの故郷、赤道地域をテーマに、五感を刺激する「エクエイター」シリーズの1フレーバー。カカオ65%のダークチョコレートです。
チョコレートには、パッケージにも描かれているアメリカ大陸原産の果物“サワーソップ”を使用しています。このサワーソップ、東南アジアでは定番の果物だそう。
チョコレートを取り出した瞬間に香る果実の甘さと酸味。確かに、太陽と、広大な大地の恵みを感じます。食べてみると、パワフルなカカオの風味と、渋み。
リトアニアから世界を虜にするチョコレートブランドを作ったドマンタス・ウジュパリスの、母国とチョコレートを愛する思いの詰まったチョコレートたち。 “人生の酸いも甘いも、チョコレートと一緒。混じり合うから美味しい”という素敵なシェフの言葉が、チョコレートからも伝わってきます。
日々の小さなサプライズを与えてくれる素敵なフレーバーチョコレートです。
サワーソップ 1,512円(税込)
About Shop
Chocolate Naive
公式インスタグラム:@chocolatenaive_japan
前後編に渡ってお伝えした“美しき板チョコの世界”はいかがでしたか?
紹介したブランドは合わせて11種類。全く異なる魅力をもった板チョコの世界は、好みのブランドを見つけて追求するもよし。ブランドにこだわらず、ダークやミルク、フレーバーなど、チョコレートの種類を食べ比べてもよし。という、まさに縦に割っても横に割っても美味しく楽しい世界です。
チョコレート1枚に、お札を出すのはやっぱり勇気がいります。でも、自分の感覚を頼りに買ったチョコレートが美味しかった時の喜びは、やっぱりひと味違う。
“見つけた!”という高揚感は、なんだかCDのジャケ買いによく似ているんです。
そんな、チョコレートの沼に、あなたも是非ハマってみてください♡
園果わたげ
ウフ。編集スタッフ
ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。
注目記事