2024年秋に北陸新幹線が開業する地域、石川県小松市。少しずつ街の活気が高まる中、小松市の老舗洋菓子店であるマルフジがリニューアルオープンし、北陸唯一の“お菓子のテーマパーク”をつくったという情報をキャッチ! 今回、こちらのレセプションにufu.編集部が潜入してきました。詳しくご紹介していきます。
<目次>
・小松市で知らない人はいない老舗洋菓子店「マルフジ」
・「ずっとマルフジを継ぎたかった」代表・越栄兄弟の決意
・クラファンで資金集めに成功。「お菓子のテーマパーク」とは?
・“シンガポールのパンを変えた”名シェフが手がける「ベーカリーゾーン」
・食材のおいしさが伝わるジェラートを堪能。「カフェ&ジェラートゾーン」
・手土産にもぴったり!「ショコラゾーン」
・小松の田園風景が眺められるカフェテラス席
・ロングセラースイーツがたくさん!「マルフジ本店」
石川県小松市の洋菓子店第1号として、1955年に創業したマルフジさん。祖父から父へ、父から息子へと親子でお店を受け継ぎ、現在は3代目のご兄弟がシェフパティシエとなっています。
地域密着型の洋菓子店であり、地元の人々にとっては、イベントごとや贈り物があればマルフジへスイーツを買いに行くのが定番。老舗ながらもあぐらをかかず、日々新しいスイーツを開発しているのはもちろんのこと、地域の企業や農家さんとコラボしてスイーツをつくったり、親子向けのお菓子教室を開催したりと、様々なチャレンジを続けています。
マルフジで1番人気のスペシャリテは、パイ生地に濃厚なスイートポテトを組み合わせた「いもほり長者」。石川県産の五郎島金時を100%使用した、小松の名物スイーツのひとつです。ひとくち頬張ればお芋の風味がひろがり、ほこほこの食感と合わせて思わず笑顔になってしまう優しいお味。
この「いもほり長者」をはじめ、地元食材をふんだんに使い、どこか懐かしい味わいのスイーツをバラエティ豊かに提供しています。
現在3代目のお二人は、それぞれ役割分担をしてお店を運営。兄の越栄純平さんはシェフパティシエとしてケーキや焼き菓子を、弟の亮弥さんはショコラティエとしてチョコレートやジェラートを担当しています。
お二人はもともと、「いつか実家を継ぐのだろう」という使命感を持ち、高校生のころには「世界一のパティシエになる」と公言していたほどの“生まれながらのパティシエ”。それぞれ北海道や東京のパティスリーやショコラトリーで研鑽を積み、地元にUターンして現在マルフジを継ぐことになりました。
今回のリニューアルでは、資金集めをクラファンで行うなど、苦難の連続だったのだそう。レセプションでは、弟の亮弥さんが涙を見せる場面も。
「子供の頃からお菓子をつくる父の背中を見て育ってきたので、兄弟どちらかが独立したりすることはありませんでした。『マルフジを継ごう』、いや継ぎたいと思っていたんです。
うちの両親はとても仲がいいのですが、唯一、お店のことだけは喧嘩していて。それだけお店の経営に対して本気だったのだと思うし、その姿を子どもながらにとてもかっこいいと思っていました。今度は自分たちの番。スイーツで小松の人々を、子どもたちを笑顔にしたいです」
ご両親の代から世代交代するタイミングで、「何か大きなチャレンジがしたい」と考えた純平さんと亮弥さん。
北海道や東京で働きUターンしてきたお2人は、小松市の少子高齢化や文化継承、地域コミュニティの維持などに課題感を持っており、「小松で育ったこどもたちが将来誇りを持てるような、元気な街をつくりたい」という想いがあったそう。そこで、「お菓子のテーマパーク」をコンセプトに、新店舗を本店横に新しくつくり、リニューアルオープンすることを決意。
しかし、度重なるスイーツの材料費や燃料費、包装費の高騰により、資金面の問題に直面。一世一代の挑戦に決して妥協したくなかったお二人は、そこからクラウドファンディングに挑戦し、2022年9月から10月にかけて支援を募集した結果、なんと300名以上、合計約260万円の資金が集まったそう!
そんな、マルフジと、マルフジを愛する地域の人々がつくった“お菓子のテーマパーク”こと「スイーツガーデン」。詳しくご紹介していきます。
レセプション会場に到着し、早速エントランスへと向かいます。お店のまわりはのどかな田園風景ですが、そこに突然現れるおとぎ話のような世界観にびっくり!
まるでヨーロッパの田舎のお家のようなレンガ屋根の外観に、様々なグリーンが植えられたお庭空間。車から降りた子供たちがはしゃぐ様子が目に浮かぶような、まさにワンダーランドな場所。本店と新店「スイーツガーデン」をあわせると敷地はかなり広大で、なんと約300坪なんだとか!
小さな屋根のついた小屋(ガゼボ)は、こどもたちが遊ぶための空間。中には小さな切り株のテーブルとイスがありました。大人の筆者でも心ときめくほどのキュートな空間!
新店舗のお店の構成は、1階にカフェ&ジェラート、ショコラトリー、ブーランジェリーの3店舗があります。2階はお菓子工房(※お菓子教室などを開催予定)とカフェ利用のためのテラス席。地元の家族や子どもたちはもちろんですが、スイーツ好きにもたまらない、天国のような空間でした!本店では、変わらずパティスリーとしてケーキや焼き菓子、手土産を販売中。
お次は、新店の3店舗、本店の様子をそれぞれレポートしていきます。
ブーランジェリーの店舗内。一歩入ればズラリと並ぶ様々なパンに思わず声をあげてしまいます。入り口には能登ミルクやブルーベリーを使用した手作りのコンフィチュールが並び、パンのラインナップはお惣菜パンからハード系パン、菓子パンまで幅広く用意されています。
レジ横のショーケースには、今すぐにでも頬張りたいサンド系パンも♡スイーツと一緒に、明日の朝ごはんや軽食のパンを購入できるのはうれしいところ。
そして、このブーランジェリーで注目すべきは、なんと今回のブーランジェリー開店にあたり、マルフジにUターンしてきたという村田シェフ。
学生時代にはマルフジでバイトとしてパン作りを経験。高校卒業後、東京や神戸の名店で研鑽を積んだ後、なんとシンガポールでパン作りの商品開発や人材育成に従事していたそう。その実力は“シンガポールのパンを変えた”一人だと言われているほど! 洋菓子店のパンと侮ることなかれ、豊かな発想力と確かな技術でつくられるパンは、誰もが虜になるおいしさです。
「東京やシンガポールと様々な場所で働いてきましたが、いつか故郷の小松に帰って、地元に恩返ししたいとずっと思っていて。マルフジのリニューアルオープンのタイミングで、シェフたちに『一緒にやろう』と言われて喜んで帰ってきました。パン作りで小松を盛り上げていきたいですね!」
エントランスの一番近く、カフェ店舗で提供されるのは弟・亮弥さんが手がけるジェラート。ジェラートはシングル、ダブル、トリプルがあり、好きなフレーバーをカスタマイズして楽しむことができます。
フレーバーは、子供も大人も大好きなあまおう苺やショコラから、ちょっと大人なレモンマスカルポーネ、ラムレーズンなど全8種類。おすすめは地元食材「五郎島金時」のジェラート。ほくほくのお芋がゴロゴロに入っており、食べ応え抜群なんだとか。
店内ではゆっくりと腰掛けてジェラートが味わえます。お買い物の後のホッと一息にもぴったりの空間。
ショコラ店舗で展開するのは、こちらも弟・亮弥さんが手がけるチョコレートたち。クロッカンやタブレットショコラ、ショコラパウンドなどこちらも品ぞろえ豊富!ショーケースに並ぶ艶々のボンボンショコラたちは、思わず一目惚れしてしまうキュートさ。
小松市の酒造「西出酒造」とコラボした、酒粕のショコラパウンドケーキも注目。酒粕とオーガニックチョコをあわせ、ちょっと大人な味わいに仕上げたスイーツで、手土産にもぴったりの逸品です。
レセプションでは実際に購入が可能だったので、編集部はタブレットショコラをお土産に購入。フランス産のミルクチョコに、ナッツやドライフルーツが色とりどりにトッピングされたキュートな一品♡パキパキやサクサク、ザクザクといった食感のハーモニーが絶妙でした。
見晴らしの良い二階のテラス席部分では、珈琲などのドリンクと一緒に購入したスイーツを楽しむことができます。この日は晴れていたので、小松の田園風景が気持ちよく広がるさまを見ることができました。
家族それぞれが好きなスイーツを買って、テラス席でのんびり味わう。そんな風景が目に浮かぶようです。
今回のレセプションで振舞われたオリジナルスイーツは、シンプルなショートケーキと、トッピングされた小さなフルーツたち。そよそよと吹く心地いい風にあたりながら頂くスイーツは、非日常気分で味わえて、室内で頂くより一層おいしく感じました。
もちろん本店も健在。こちらは兄・純平さんが手がけるケーキや焼き菓子の販売が中心。季節イベントごとのケーキや看板商品の「メロンボール」(※提供は夏季のみ)をはじめ、ギフトにぴったりな個包装の焼き菓子などがあります。
そして何より、お店の端から端までびっしりの品揃えに驚き。思わず目移りしてしまいます! ユニークなものからスタイリッシュなもの、和から洋のものまで幅広く提供しており、冒頭でご紹介した「いもほり長者」もこちらで購入できます。
いかがでしたでしょうか。家族の愛、地域の愛に包まれてリニューアルオープンした「マルフジ」。小松市の家族の新たなお出かけスポットでありながら、全国のスイーツ好きもぜひ一度足を運んでみるべき名店。たくさんのスイーツの中から好きなものを選び、大切な誰かと一緒に、心地いい場所で食べる。そんなスイーツが運ぶ小さな幸せを、思う存分体験できる場所です。ぜひ一度足を運んでみて下さい。
About Shop
スイーツガーデンマルフジ
石川県小松市沖町ナ30
営業時間:10:00~18:00
定休日:月曜、火曜
@cakehouse_marufuj
Writing/Nanako Maeda
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