2019年、日本で行われたラグビーワールドカップ。“4年に一度じゃない。一生に一度だ。 -ONCE IN A LIFETIME-”を体現するブレイブブロッサムズの活躍に日本だけでなく世界中が盛り上がりました。
そんな活気あふれる球場で実はもうひとつ、みんなの味覚を熱狂させたのが「ランチパック」!
イギリスのメディア記者の1人が「マーマイトなんかよりも美味しいぞ!」というコメントと写真付きでツイート。大バズりして世界中が注目しました。ある海外向けWebサイトでは、ランチパックの美味しさとバラエティーの豊富さに言及し、日本の素晴らしい文化料理だと伝えています。
※マーマイト:ビタミンBを多く含むペースト状の発酵食品。イギリスの朝の定番。
そして今回、“どんどん変わる商品のアイディアは尽きないの?”という疑問をぶつけるため、ランチパックを生み出した山崎製パン株式会社に取材を依頼。マーケティング部の保田さんが快く受けてくれました。
ランチパックの秘密にふれつつ、王道から限定まで大人気商品を一挙に見られるランチパッカー必見の内容です!
ランチパックが初めて誕生したのが高度経済成長期真っ只中の1984年。ピーナッツ、小倉、ヨーグルト、青りんごの4種類が同時販売されました。
保田さん「『ランチパック』は山崎製パンの主力品、食パンをいつでもどこでも手軽に味わってもらいたいという思いで開発しました。発売当初はサンドイッチのイメージはなく、フレーバーが全て甘味系でした。そのため当時は数ある菓子パンの1つという位置付けでしたが、2006年に食パンの改良を加え工夫を凝らした様々な食材を挟めるようになりました。また、同年にCMで『ケータイするランチ』というキャッチフレーズを放送。これが多忙な現代のスタイルにハマったのだと思います」
どんな食材を挟んでもぴたりと味を調和させる食パンはなんとランチパックのためだけに開発。きめ細かさを追求した食パンはフワフワしっとりとしていて焼かなくても美味しい味と食感です。そして、最後まで中身が詰まったサンドは四方向どこから食べても最後まで具材を楽しめます。
保田さん「『ピーナッツ』は当初から現在まで変わらず人気がありますが、基本的にクリームは味を変えていません。しかし絞り方を変えたことで当たり前となりましたが端から端まで入れられるようになったのは進化ですね。あとトレンドとなったピーナッツの焼き印も変化のひとつです」
小倉もまたランチパック誕生当初から販売されている食材。現在は「小倉&マーガリン」として定番商品になっています。小倉の食感を楽しんでもらうために今も昔も粒あんを使用しているそう。
ぎっしりと入った粒あんは外から透けて見えるほどです。あんこの香りがふわりと香って、食べればマーガリンの塩味と粒あんの食感がしっとりとした食パン生地に包まれて美味。
あんパンとは全く違う、ライトな食べ心地はランチパックならではで1個当たり157kcalと低カロリー。間食しても気兼ねなく本食を楽しめます。
そして当初販売された4種のうち、ジャム系の「青りんご」の代わりとして定番化したのが「苺ジャム&マーガリン」です。誰もが食べたことがあるだろう人気商品はお家で似せて作ろうとしても何だか上手くいかない、“ランチパックの美味しさ”があります。
そういえば、ジャムの中で苺は超王道中の王道ですがなぜ販売当初は「青りんご」だったのでしょう?
保田さん「それは当社も分からないんです。僕らはこれを“ランチパックの七不思議”って呼んでいます。6年前に一度だけピーナッツ、青りんご、小倉、ヨーグルトを1パックに入れて『元祖4種の味わい』として販売したのですがいまいち反応が良くなくてね笑
対して苺ジャムを使用したランチパックは人気が高く、エリア限定商品で唯一のロングセラーが九州エリアの『福岡県産あまおうジャム』です。
2020年にはオリンピックに向けて英語表記をパッケージに加えました。結局コロナ禍で来国者は限られたわけですが、訪日した人も安心して食べられるだろうとそれ以来英語表記なんです」
「福岡県産あまおう苺ジャム&ホイップ」にはホイップクリームが入っていてちょっぴりリッチ。断面を見ると分かる通り少し硬めに仕上げたホイップクリームは甘さが控えめで子供から大人まで美味しく食べられます。
今回、取材を依頼した主目的“ランチパックの種類の豊富さ”。その数は1年で160種類にも及びます。中には地方の局アナとコラボしたものなどニッチなものが多いのも見どころです。
保田さん「ランチパックの工場は全国に20か所あって、各自で商品開発をしています。地域に特化した限定商品が出せるのもこのシステムのおかげです。そのエリアでしか買えないものが山ほどあります。またそれを楽しんでくれる方も多くてランチパッカーと呼ばれている熱心なパッケージの収集家がいるほど。商品を開発する側としてもそういった声を聞くと嬉しくなります」
北海道限定で販売されている「4種のおいしさ」もエリア限定商品の中で人気を誇るスリットタイプのランチパック。「いちごジャム」はマーガリンが入っていない分軽い口当たりです。シュガーマーガリンはジャリっと歯ごたえの砂糖がなんとも罪深く、チョコクリームは駄菓子感覚で食べられちゃう。カスタードクリームはコクがあってまろやかです。
同じく限定商品で「カスタード&ホイップ」は東北のみで販売しています。山形県にある自然豊かな蔵王高原で育った牛からとれるフロム蔵王牛乳入りのホイップクリームとコクのあるカスタードクリームがサンドされています。食べると、ホイップクリームがとにかく美味しい。たっぷり入っているのに食パンから漏れないギリギリのラインを攻めているところもお見事です!
コラボ商品の中には挑戦的なものも多数。過去にはエナジードリンク味のランチパックの商品開発に挑んだことがあるんだとか。なかなかパンチの効いたコラボはなんだかスリリングで一度食べてみたい。
保田さん「サーティーワンアイスクリームとコラボした商品を2017年と18年の2回にわたって販売しました。人気のアイスクリームの味をいくつかランチパックにしたのですが、一番やりたかった『ポッピングシャワー』が出来なかったんです。色々試したのですがポップロックキャンディーがどうしても弾けちゃうんですよ。想像以上に手ごわい相手でした」
とっても悔しそうに語る保田さんに、商品開発への情熱を感じます。アイスクリームの人気フレーバー「クッキークリーム」はランチパックでも人気で、こちらは全国どこでも買える商品。食べるとシャキシャキとしたクッキーが楽しく、バニラ風味のクリームは濃厚でクッキーサンドの間だけを食べているような感覚に。最高の贅沢です。
調べてみると冷凍して食べている人も多数いる様子。冷凍するとふんわりとした食パンがケーキのスポンジのようでアイスケーキみたいな美味しさを楽しめるのだとか。
保田さん「実は、現在ランチパックのチルド商品を開発しているところなんです。以前にも一度販売したことがあるのですが、今回は全国販売を目指しています」
初登場から約40年。安定の美味しさと、チャレンジ精神で私たちを楽しませてくれるランチパック。次はどんなコラボレーションを果たすのか要チェックです!!
※紹介した商品は2022年5月現在のものです
協力
山崎製パン株式会社
ランチパック担当
園果わたげ
ウフ。編集スタッフ
ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。
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