本当は秘密にしておきたいけれど、誰かに教えたい! なんて悩んでしまうほど、素敵なお店ってありませんか?
名古屋にあるベーグルとイングリッシュマフィンのお店 「coharu*bagel(コハルベーグル)」は、本当は教えたくないお店。店主の物づくりへの想いはもちろん、ぱっと見て惹かれる可愛いさと、毎月変わる商品のアイディア。ふかふかむぎゅっと噛みごたえがある生地、ポップで可愛い店内…。
常連さんはもちろん、全国のベーグルファンが連日行列を作る超人気店です。
今回は、その人気の秘密と、多くの人がひきつけられるその魅力の裏側をご紹介します。
2014年に名古屋市名東区にOpenした「coharu*bagel」。真っ白で清潔感のある外観で、辺りには焼きたてのベーグルの香ばしい香りがふんわりと漂います。
地下鉄東山線の「上社駅」からは歩いておよそ15分。地下鉄「名古屋駅」から「上社駅」までは乗り換えなしで24分、観光地の東山動物園なども3駅隣と近いので、観光ついでに立ち寄るのも◎
歩くのはちょっと遠い、という方も大丈夫。バスを利用して「上社駅」から6分の「猪高台」で降りれば、徒歩2分で到着します。
スイーツ系からお惣菜系まで、ずらりとベーグルやイングリッシュマフィンが並ぶショーケースに、目を奪われること間違いなし。手書きのPOPやディスプレイも可愛らしく、何度訪れても心が踊ります。
目の前の商品に目を奪われてしまいがちですが、実は奥にサンドイッチメニューもあるので要チェック。注文が入ってから作っているので、できたての美味しさが味わえるのが嬉しい。忘れずに注文しておきたいところですね。
定番メニューに加えて、旬の素材や季節を取り入れた商品が毎日10〜20種類ほど並びます。
商品のラインナップは不定期に変わるので、お目当ての商品がある場合は、インスタのおしらせを見てから訪れるのがおすすめ。今回はその中から3つをご紹介します。まず紹介したいのが、まさにベーグル界のアイドルのような、プリンアラモードベーグルバー。
つやつやのミニプリンと旬のフルーツ、たっぷりと生クリームが飾られた贅沢なオープンサンド。食べるのがもったいないほどの可愛いらしさです。
バーの部分にはリボンと「coharu*bagel」のロゴが。
このバー、実は中まで貫通しているので、アイスクリームのように片手で食べられるの点はとてもユニークです。
いちごの季節限定で販売されるため、待ちかねていたファンも多いオープンサンド。こちらも側面を見て感動するほど、たっぷりと生クリームが盛られています。
カットすると、中にはあんこのサプライズ。いちごの酸味×あんこの旨味×生クリームの濃厚さにやみつきになること間違いありません。
ちょうど取材時期は春だったため、苺でしたがこれからの季節ごとのベーグルが楽しみです。
ナッツとフルーツがふんだんに詰め込まれたゴージャスなベーグル。カットすると、よりボリューミー感が伝わります。まさに名前のとおり”ぎゅんぎゅん”。
ほおばると口いっぱいに具材の美味しさが広がって、思わず笑顔になってしまう一品。販売当時からあるメニューで、こちらもファンの多い人気商品です。
今回はこんな素敵なベーグルを作り続ける店主の榊原さんに、その想いとこだわりを取材させていただきました。
−外側はパリッと、中はふかっと。しっかりと歯応えがありながらも、噛み切れる柔らかさ。この独特なベーグルの食感は、作り方に何か秘密があるのでしょうか?
榊原さん「使用している小麦は国産の小麦ですが、作り方は独特なものではなく、教科書通りのベーグルの作り方です。あるとしたら、継ぎ足して使い続けている天然酵母かもしれません。ベーグルを作り始めた当時は、どこも天然酵母は使い切ることをおすすめしていました。ですが、鰻屋さんのタレように、江戸時代から継ぎ足して使い続けているものにロマンを感じていて。趣味で作っていた頃の、確かレーズンからだったと思うのですが、そこから色々継ぎ足して、今も生き続けてくれています。」
−生クリームがたっぷりで美味しく、しかし何個でも食べられてしまうのが不思議です。インスタでも生クリームが好きだと書かれていますが、こだわりはありますか?
榊原さん「高いお金を払って美味しくないとがっかりしてしまうので……。私が食べて美味しいと思うものを妥協せずに作っています、生クリームは、最初に舌に触れる素材や味で組み立て方を変えて、何パターンも試作しています。あとは、食べてくどかったり、重くならないように、バランスにはとても気を付けています。」
−どれも驚くほどい美しいベーグル、その見た目から味わいまで、アイデアがすごいなと思いますが、大切にしていることは?
榊原さん「作るのが好きで、楽しいのが大事だなと思います。やっぱりお客さんにも喜んで欲しいですし。本当はもっと新作を出したいんですけど、妥協はできないので…。」
−作るのが大変なものも多そうですが、大変ではないですか?
榊原さん「作っているうちに慣れてしまうので、苦ではないです。あとは、同じものを作り続けると、飽きてしまうので」
−「coharu*bagel」の店名に込めた想いはありますか?
榊原さん「店舗ではなくブログの通販から販売をスタートしていて、店名はもともと趣味でパンを焼いていた頃のブログ名 “coharubi”からきています。こんなに長くお店を続けるとはおもっていなかったので、そんなにこだわらずにつけました。でも、覚えてもらいやすいのでよかったかなと思っています。」
−「coharu*bagel」を始めたきっかけはありますか?
榊原さん「もともとベーグル好き、というわけではなかったのですが、パンを焼くことは好きでした。本当にたまたまベーグルを作ったら、あまりの美味しさにポカーンとするくらいびっくりしてしまって。当時は今ほど主流ではなかったベーグルですが、いくつか適当に取り寄せて食べてみたら、あれ? 自分で作ったベーグルが一番美味しい! この美味しさをみんなに食べて欲しい! と思って、3ヶ月後には通販をスタートさせていました。」
−3ヶ月はとても早いですね!
榊原さん「自分にそんなにエネルギーがあったのが信じられないくらい! とにかく食べてもらいたいと思って。当時は家族もそんなに応援してくれていなかったですし。ただ、店舗を構える気はなかったんです。やっぱりすごく大変なことですし。ずっと通販のつもりでした」
−通販が軌道に乗るまで苦労はありませんでしたか?
榊原さん「HPもなく集客できるほどアクセス数もないままブログでお店をOpenしましたが、なぜか毎日ベーグルを焼けるような状態でした。1月にスタートして5月には忙しくなっていましたね。口コミで広がっていったのだと思います。」
−実店舗をOpenしようと思ったきっかけはありますか?
榊原さん「通販をしていて、なんとなくパン屋さんとして認められていない感じはしていていました。ただ、店舗を作らないの?とは聞かれていましたが、きっとそのタイミングがきたら絶対に話がくると思っていました。通販を始めて6年ぐらい経った頃に、何もコネクションはなかったのですが、実店舗のお話が来たんです。絶対に大変だし、どうしようか本当に悩んだのですが、1%だけしんどいよりも頑張りたい気持ちが勝ってしまって、店舗をスタートすることにしました。」
−実店舗をOpenして、苦労したことはありましたか?
榊原さん「今は街のパン屋さん、という感じになりましたが、やはり最初はなかなか理解してもらえずに苦労しました。ベーグル? 何屋さん? という感じで、何度も説明して。半年間くらいが、最初の挫折かもしれません。それから徐々に広まっていきました。でも急激な人気より、緩やかに増えてよかったなと思っています。店舗だと焼きたての美味しさを味わってもらえるので、やはりそれも醍醐味だなと思います」
−昨年は「coharu*bagel」の作り方を、店舗を開きたい方向けに教える大きなチャレンジをされていましたが、きっかけはありましたか?
榊原さん「毎年年末におせちのベーグルセットを販売していて、新年に食べるものなのでとびっきりのものを、という思いでエネルギーを注いでいたのですが、あまりにも手が回らなくて。その時のインスタに販売しないと記事をあげたとき、来年楽しみに待ってます! と過去最大のコメントがついたんです。それにひたすらお詫びの返信をしていたときに、自分も通販がしたいけどキャパオーバーなので、誰か作ってくれないかな? と思ったことがきっかけです。暖簾分けではなく、あくまで教えるという形ですが。」
−始めるまでの悩みはありましたか?
榊原さん「もったいないと言われることもあり、悩みました。ただ作れる量にはやはり限界があるし、もともとは食べて欲しいという思いから始めたことなので、思い切って作りたい人を応募しました。」
−今後チャレンジしていきたいことはありますか?
榊原さん「教える、となるとやはりオンラインでは難しく、県内の人になってしまうので、いつか他県の人たちもやってくれて、他県にもこの味が広まると嬉しいなと思っています。あとは、食事系のサンドですっごく美味しいものが完成しているのですが、忙しくてまだ出せていないので、早く出したいなと思っています」
さらなる進化を遂げていく「coharu*bagel」に、今後も目が離せませんね。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?
About Shop
coharu*bagel
愛知県名古屋市名東区猪高台1丁目1407
営業時間:11:00~17:00
定休日:日曜日、月曜日
通販ベーグル初心者におすすめ!もちもち食感&バラエティーに富んだフィリングがたのしい名古屋の「con amore(コナモーレ)」
emi
人気上昇中の愛知のグルメブロガー
会社員として働くかたわら、美味しいグルメ、芸術、そして極上の一杯を求め旅するトラベラー。一番のお気に入りはお茶。ブログも執筆中。
インスタグラムのアカウントは(@emi_flower56)
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