思い返すと、子供の時に一番パンが身近にあったのは学校給食ではないでしょうか?
勉強、遊び、と盛りだくさんの学校では毎日の給食が待ち遠しかったはず。
今回は、横浜育ちなら誰もが知っている給食のパンこと「かもめパン」を取材。
神奈川県でパン好きを公言するなら、ここは外せない!
広報の藤江さんと厳選した地元に愛されるパン屋「かもめパン」のおすすめ商品を全9種類、一挙紹介します!
藤江さん「『かもめパン』は元々、横浜で学校給食制度が始まった1940年代当初から、政府の要請で給食のパンを作るようになりました。その当時はコッペパンとその他数種類のみでしたが現在作っているパンは300種類以上に及びます。
来店される方の中には“懐かしいね”、“私も給食でお世話になりました!”と仰ってくださる方も多いです。2世代、3世代を通して学校給食が『かもめパン』だったという方もいらっしゃいます」
ハマっ子の間では「かめパン」という愛称で親しまれ、給食以外に高校の購買にも卸しているのだとか。
学校生活で食べるパンの中でも人気なのは、今も変わらず「揚げパン」。油で揚げたコッペパンにたっぷりお砂糖がかかった姿は今も昔も変わりません。戦後に誕生した「揚げパン」は、当時子供たちにとって貴重な栄養源でありスイーツだったそう。
お砂糖のみのものと、きな粉を一緒にまぶした「揚げパン」。いま食べてもどちらも染みる味です。
他にも学校に欠かせないのが調理パン。
「かもめパン」がオリジナルで販売している「焼きそばパン」は丸くて野球ボールくらいの大きさで、中に焼きそばが入っています。こうすることで、焼きそばの品質が保たれ美味しく食べられる時間を延ばせるそう。
しっとりとした薄めのパン生地の中には焼きそばがぎっしり。トップにかかったマヨネーズとショウガがアクセントになって、今まで食べた「焼きそばパン」の中でも断トツの美味しさです。
調理パンといえばもう一つ「カレーパン」です。「かもめパン」でしか食べられない「村田さんのカレーパン」は必食もの。
村田さんというのは『かもめパン』で昔から働いていたおばあちゃんのことで、彼女が考案したレシピだそうです。パンの中にはカレーと焼いたポテトと福神漬けが入っていてなんだか懐かしさを感じます。
「村田さんのカレーパン」は普通のカレーパンでは味わえない満足感。村田さんの愛情を感じます。
他にも学生人気を藤江さんに聞くと、
藤江さん「クリームが入っているパンも学生から人気です。『天然酵母のクリームパン』はお客様の要望にお応えしてできた商品で、生地には一切の添加物を使っていません」
見た目は素朴でかわいく赤ちゃんの腕のようにムチムチ。あの頃を思い出しながら食べるにはもってこいです。酵母には星野天然酵母を100%使用。小さな子供も健康志向の人も美味しく楽しめる「かもめパン」オリジナル商品です。
味わいはクリームは甘さ控えめでしっとりとしています。パン生地は小麦の香りが甘く、食欲をそそります。
学校給食は、普段食べる食事に対する関心を上げる食育の面も担っています。横浜では独自のカリキュラムからなる献立によって、さまざまな取り組みが。
給食を通して“世界のパンを食べてみよう”というプログラムでは、中央アジアのナンや、ヨーロッパのソフトフランスなど他国の有名なパンを子供たちに提供していたそう。他にも、国産小麦を一部使用したパンを出すことで日本の産業や生産についての学びの場を増やすなど、パンは食べ物という枠を超えて活躍しているのが伺えます。
「かもめパン」の直売所で購入できる「国産小麦のクロワッサン」は小麦の香りがたった香ばしい味わいで人気が高く、この生地をベースにした菓子パンが沢山あります。
「国産小麦のクロワッサンダマンド」はアーモンドが生地に絡まっていて甘く芳ばしい香りが漂います。食べるとサクサクとしていて、焼きの違いでしっとりとしたクッキー感やカリカリとした食感が楽しめます。
さらに、お店に入ってとっても気になったのが大きな「シュトーレン」の存在。ドイツのクリスマスには欠かせない焼き菓子ですが今は5月です。理由を藤江さんに伺うと、
藤江さん「『かもめパン』の『シュトーレン』は副社長のオリジナルレシピで東ドイツの古都、ドレスデンの職人に教えてもらったそうです。2017年の『パングランプリ東京』で優秀賞を受賞してからとても人気で、横浜のふるさと納税の品物にもなっています。
最初はうちもクリスマス限定の商品として作っていたのですがお客様からの要望で年中置くようになったんです」
アルコール分を完全に飛ばしているので子供と一緒に楽しめる「かもめパン」の「シュトーレン」。しかし、こだわりのラム酒につけたドライフルーツとナッツの香りはとても芳香です。日本人の味覚に合わせてスパイスを少し抑えた味わいになっていて、生地はずっしり。ラム酒が果肉やナッツの香りを開かせ、なんだか春の「シュトーレン」もいいなと感じます。
給食のパンとして知られていますが、豊富な製造ライン設備と職人の存在によっていろいろなところで「かもめパン」を楽しめるようになったのだとか。
藤江さん「現在では横浜高島屋のベーカリースクエアやヨーカドー、ホテルや豪華客船などでも「かもめパン」のパンが販売、利用されています。横浜を中心にお子様だけでなく大人の方にも楽しんでいただければと思います」
職人のアイディアとこだわりで誕生したパンの中には、開店後すぐに売り切れてしまう商品がいくつもあります。「ぶどうパン」は中でもファミリーに大人気の商品で、ブドウの実にみたてたブリオッシュ生地のパンの中にはひとつひとつ異なる8つのフレーバーが。
あんこ、白あん、かぼちゃあん、クリーム、カスタード、チョコレートクリーム、マロンクリーム、リンゴジャム、イチゴジャムと、和洋折衷様々な甘さを楽しめるのがポイント。何が当たるかわからない楽しみと、ほんのり甘い生地に入ったそれぞれのフレーバーを存分に楽しめるお得なパンです。
「かもめパン」で使用されるあんこは全て、横浜の老舗餡子屋さん「清水製餡」一択というこだわりがあるそうで、「和菓子のようなアンドーナツ」は特にこのあんこを楽しむためにこしあんを使用。
北海道産産の小豆から作られたあんこは日本人がほっとする甘さです。くどさがないのでするりと喉を通ります。
素材にこだわったパンも多く、お家で祝う記念日やホームパーティーの食事と合わせるシンプルなパンも最近人気なんだとか。
藤江さん「天然酵母 ミニロールパンセット」は全てホシノ天然酵母100%で作られているそうで、プレーン、バター、クルミと胚芽の3種類が5つ入っています。ミルキーな味わいがあり、リベイクすると焼き上がりと同じ香りがトースターの中いっぱいに広がります。
天然酵母はどうしても硬くなりやすいため、軽く霧吹きをかけてアルミに巻いてリベイクするのが良いそう。焼き上がりの美味しさが戻ってきます。
どれもリーズナブルな価格で、直売所には紹介しきれなかったパンがずらりと並びます。300種類はただものじゃない!
お客さんの中にはまとめ買いをして、冷凍する人もいるくらい「かもめパン」好きの人も多いんだとか。初めて訪れる人はまず「揚げパン」を。それ以外にも美味しそうなパンをポポンとトレーに乗せて、パン祭りを楽しんではいかがでしょうか♡
About Shop
かもめパン
神奈川県横浜市南区永田東2丁目10−19
営業時間:7:00~19:00/7:00~18:00(日曜日)
定休日:水曜日
園果わたげ
ウフ。編集スタッフ
ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。
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