「ガレット・デ・ロワ」というお菓子をご存じでしょうか? シュトーレンに続き、このお菓子界で大旋風を巻き起こしている焼き菓子です。
フランスの郷土菓子で、もともとはキリスト教の祭日、エピファニーにちなんだもの。現在では新年を祝う菓子となり、切り分けた中にフェーヴが入っていた人は、王冠をかぶり、その1年を幸せに過ごせる、というユニークな設計。日本では、誤飲の恐れがあることから、基本的には中には入れず、箱に添えられていることがほとんど。
そんな人気の「ガレット・デ・ロワ」の中でも、業界初となる専門店が、なんと伊勢丹新宿店でデビュー。実店舗を持たない幻の店が、どんなブランドなのか紹介していきます。
「ガレット・デ・ロワ」は、アーモンドパウダーをたっぷり使ったクレーム・ダマンドを絞り出し、その上にパート・フィユテ(パイ生地)を乗せ、リーフや渦状の模様をつけて焼き上げたお菓子です。サクサクの食感と、中のクレーム・ダマンドがしっとりとしていて、いくつでも食べられてしまう軽さ。
シェフは、大澤智弥。焼き菓子専門店であるビゴから始まり、名店を渡り歩き、ついに「Galet Galet」を立ち上げます。また「ガレット・デ・ロワ」の2022年大会のファイナリスト。
そのコンクールに出品した作品をブラッシュアップ。フランス産小麦「トラディション」、フランス産イズニー発酵バターを使用しパイ生地のクラスト感とイズニーバターのミルキーな味わいが特徴。ラム酒をしっかりと効かせたせきび糖のコク、バニラがほんのり香るクレームダマンドとなっています。
「食べきれない」と思う人向けに、珍しいカット販売も。またフレーバーは「ナチュール(プレーン)」の他、ピスタチオとマロンがラインナップ。ピスタチオはアーモンドをブレンドせず、ピスタチオを100%使用。自家製ピスタチオペースト、ピスタチオパウダー。ところどころ感じる塩がピスタチオの味わいを引き締めています。
マロンは、フランス産マロンペーストを練り込んだクレームダマンドマロンに、渋皮栗をふんだんに使用。ゴロゴロっと入った栗がたまりません。
1日14台限定の「スペシャル」使用のガレットデロワは、人気陶芸家の廣田哲哉氏オリジナルフェーヴが。廣田氏による、今回限りの2023年の干支である「兎」をモチーフにした手作りフェーヴを用意。色や顔立ち、形すべてが手作りなため、1個1個異なる表情に。
廣田氏は、奈良県出身横浜育ち。架空の生き物は手作業により生まれ、かわいさあふれる廣田ワールドに、虜になるファンも多いです。日常使いとしても使い勝手のいい器を日々作り続けている、次世代の陶芸家です。
その他にも「ガレットブルトンヌ缶」にも注目。何個も食べられるガレットブルトンヌを意識。
本来セルクルやアルミトレイで焼くところを、シリコン型で焼くことでラム酒の香りとバターの香り、しっとり感をキープしているんだとか。
ブランドの語源は、シェフのスペシャリテとなる「ガレット・デ・ロワ [galette des rois]」。もともとガレットデロワのgaletteの名称は、フランス語で「小石」の意味を持つ「galet」(ガレ)に由来するそう。
この語源の持つ「小石」が積み重ねてきた文化と伝統を重んじるような、リスペクトを持ってこのブランド名をつけたんだとか。
下記はシェフから。
「自分にとってお菓子への想いは、こだわりすぎないこと。美味しい材料を使わなきゃいけないとか、このメーカーのものじゃなきゃいけないとか。焼菓子は特に、シンプルであるべきだと思っています。自分の知らないフランス菓子はまだまだ沢山あって、紐解いていくと奥が深い。見た目は地味だけど本当は美味しいお菓子を作っていきたい。」
【催事情報】
⚫場所:伊勢丹新宿店
⚫期間:1月4日から1月10日までの1週間
⚫地下1F
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