前回の記事に続き、今回の連載も福祉とお菓子がテーマです。「パティスリーカメリア銀座」のシェフパティシエ、遠藤泰介さんの想いのつまった「スイートハートプロジェクト」。
遠藤シェフが実際に指導をしてきた、東京都調布市にある「調布を耕す会」の施設の担当の亀田弘美さんと一緒に、今回のプロジェクトの経緯やこれからについてお話を伺いました。
Q.そもそも、きっかけは何だったんでしょうか? どういう出会いから始まったのか教えてください。
遠藤シェフ:「もともとは、知り合いの紹介でスイートハートプロジェクト実行委員長の東光篤子さんと出会って、このプロジェクトを知りました。
福祉のお菓子について、その時はあまり意識もしていなかったのですが、お話を色々伺うにつれて“何か一緒にできないか”と思うようになりました。」
亀田さん:「今や新宿、渋谷にまで店舗を持つ、有名なパティシエさんに実際にお越しいただき、親身に指導していただけるなんて思っていませんでした。」
遠藤シェフ:「やるからには、しっかりと本気でやりたいなと思って。作るお菓子も、絶対美味しくしたいと。
施設で作っていらっしゃるお菓子を試食したり、アドバイスしたり、足を運んで指導したりもしましたね。」
亀田さん「私たちの世界でもコロナ禍の影響が大きかったです。福祉イベントの多くが中止となり、お菓子の売り上げが減ったり、障がい者の方の工賃も当然減ることに。」
遠藤シェフ:「こんな時代だからこそ、この取り組みが全国に広がればいいなと思っています。今回プロデュースしたのは、フランスの伝統菓子でもある「Boule De Neige」(ブール・ドゥ・ネージュ)です。」
遠藤シェフ:「このお菓子にしたのは、お菓子を作る工程がとてもシンプルなこと。また親しみのある形で、誰が食べてもおいしいと思えるところ。
全国で、この取り組みを広げようと思ったときに、これぐらいシンプルで続けやすいものならいいかなと思いました。」
亀田さん:「遠藤さんは、本当に優しくて何を聞いても答えてくださりました。今までやっていた方法が、全然違ったことがいくつもあって。」
遠藤シェフ:「いつもは厨房で作るお菓子も、福祉施設でとなると環境が大きく違います。オーブンも全然違いますしね。
また、彼らから上がってくる質問もどれも新鮮でした。いつもはうちの店のスタッフやプロの世界の人たちとなので、福祉施設の方が疑問に思う部分というのは、発見も多かったですね。
こういった違った形で教えられるのもいいなと思いました。」
遠藤シェフ:「お菓子屋さんをやっていると、毎日お菓子を作って、作っての繰り返し。当たり前だけれど、今後はその当たり前ではなくて、色々な業界の方や人々と接して、つながりを持って広げていけるのではないかなと思っています。
僕たちは、美味しいお菓子を当たり前のように作れる。だからこそ、美味しいお菓子を作るだけが、パティシエじゃないと思うんです。」
「人を喜ばせる方法が、お菓子を通じてお店だけじゃなく、色々な輪を通じて広げられたら。お菓子の可能性も、きっと広がるはずです。」
今回、遠藤シェフがプロデュースしたお菓子は、抹茶にフランボワーズ、ココアとプレーンの4種類。各550円(税込み)で、調布市の「調布を耕す会」、江東区「ゆめま~る」、スイートハートプロジェクトのサイト等で購入が可能です。
また今回、ufu.(ウフ。)のSDGsとしての取り組みとして、「お菓子を通じて考える、SDGs」の可能性を、メディアとして進めていくことに決めました。こちらのお菓子は、ufu.で販売中。売り上げの利益のすべてを(決済手数料など諸経費を除く)スイートハートプロジェクト並びに施設へお送りさせていただくことになりました。
ぜひ、オンラインストアでお買い求めください。
遠藤泰介
Taisuke Endo
シェフパティシエ
・ピエールエルメ イクスピアリ シェフパティシエ
・UIPCG世界ジュニア製菓技術者コンクール準優勝
・ザ・ペニンシュラ東京 ショコラ担当職人
・クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー 飴細工部門 日本代表決勝出場
・パティスリーカメリア 銀座店 現シェフパティシエ (2018年~)
【TV出演】
マツコの知らない世界、「おびゴハン!」、「内村のツボる動画」など多数
About Shop
パティスリーカメリア銀座 (伊勢丹新宿店)
住所:東京都新宿区新宿3-14-1(MAP)
伊勢丹新宿店 本館地下1階
営業時間:10:00~20:00
※詳しい営業時間は公式サイトよりご確認ください。
Photo/Ahlum Kim Writing/Cream Taro
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