いま、「鎌倉殿の13人」により空前絶後の大ブームが起きている鎌倉。
鎌倉の地名“雪ノ下”と同じ呼名の『パティスリー雪乃下』は、鎌倉好きなら誰もが知る、王道パティスリー。そんな『パティスリー雪乃下』が今年2022年10月、新たにリニューアルオープンしました。
それが、『la boutique de yukinoshita kamakura(ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ)』。新しいブランドコンセプトで舵を取ったのは若きパティシエ佐々木元シェフ。
今回は、佐々木シェフに、人生初となるリニューアルオープンの挑戦と、お店のコンセプトについてお伺いしました。
※以下『la boutique de yukinoshita kamakura』は『ブティック・ユキノシタ』と表記します
鶴岡八幡宮の参道である若宮大路の道すがら、まるでそこだけ異国の地のようにひと際目立つネイビーカラーの美しい建物。そのお洒落な佇まいに誰もが足を止めずにはいられません。店内には約10組分のイートインスペースも完備。
いままで和洋折衷を取り入れたガトー『盆栽』が『パティスリー雪乃下』のシグネチャーケーキでしたが、佐々木シェフは、新たに、美しく繊細なフランス菓子を次々開発。
佐々木シェフ「元々『パティスリー雪乃下』の姉妹店として、ラグジュアリーな印象を持たせたかった『ブティック・ユキノシタ』。しかし、その棲み分けがなかなか難しく、新たなシェフを探しているという話を社長に聞いていました。
だから、双方にとって凄くプラスだった。僕もちょうど、次のステップとしてシェフをやりたいと考えていた時でしたから」
“好きなことをやっていいよ”という社長の言葉で、『ブティック・ユキノシタ』の統括パティシエをやろうと決めた佐々木シェフ。共に働く人たちとのコミュニケーションを大切に、クリエーションの面では、自身の表現力を最大限に発揮したケーキを誕生させました。
佐々木シェフが得意とするラムを使った大人なプチガトーから、煌びやかで繊細な味わいのムースケーキまで。アイディアと技術を融合させたフランス菓子のお店は、古都・鎌倉と絶妙なコントラストを放つパティスリーとなりました。
佐々木シェフを新たに向かい入れ、リニューアルを果たした『ブティック・ユキノシタ』のシグネチャーは『シトリン』。黄色い宝石“シトリン”を彷彿とさせる美しく煌びやかなムースケーキです。
主役はレモンとラムレーズン。じっくりと煮詰めたレモンで香り付けしたホワイトムースでコーティングされています。バニラのババロアに潜むラムレーズンもうれしい食感。ボトムのガナッシュラムが追い打ちをかけるように口の中で弾けます。その美味しさに、一口でノックアウト。最後に鼻腔を通るレモンの酸味が、後味を綺麗にまとめます。
次に紹介するのは、『ルージュフロマージュ』。誰からも愛される、苺を使ったチーズムースケーキです。
佐々木シェフ「お菓子のルックスでいうと、見た瞬間に美味しそうと思うもの。味でいうと、確実に美味しい組み合わせと+αのエッセンスを意識しています。
『ルージュフロマージュ』は子供も楽しめる味を意識しました。こっそり忍ばせたハイビスカスの香りは、あくまで苺の引き立て役。苺とチーズの組み合わせは間違いないので、逆に印象付けるにはどうしたらいいか考えました」
リニューアルオープンを遂げてたった2か月あまりで、松屋銀座で限定ショップをオープン、都内を中心とした催事への出店も決まり、人気急上昇中の『ブティック・ユキノシタ』。中でも『モンブラン』は、今までのイメージを覆す見た目と味わい。店内で取材中も、客がひっきりなしに訪れ、誰もが『モンブラン』を注文していきます。
ボトムはフラン生地。ラムとバニラの香りを効かせたずっしり濃厚なカスタードクリームのようで、和栗の果肉がゴロゴロと入っています。マロンクリームには洋栗と和栗をブレンド。味の調和を図ります。
山型でない分、きっちり平行にひかれたクリームの線に感動の声が。形もさながら味わいもしっかり。食べる人を楽しませてくれます。
人気の高いピスタチオも、寒い季節に食べたくなる濃厚な味わいで登場。
『タルトショコラ・ピスターシュ』は、フランスのサクランボを使ったコンポートと、ピスタチオのムースで華やかな組み合わせです。
ピスタチオの高貴な香りがグリオットの酸味に負けてしまわないよう、アパレイユショコラがバランスを整えます。1つだけも十分に主役となる大胆な味と見た目。フォークを通したときにあふれ出るグリオットのコンフィチュールに、思わずドキドキしてしまいます。
幅広い世代に一目置かれる佐々木シェフ。その理由のひとつとして、『内海杯』での優勝や、フランス『シャルル・プルースト』世界大会の日本代表など、彼の輝かしき功績は無視できません。
佐々木シェフ「僕の場合はコンクールの影響で先に名前が売れてしまった感じがありました。最初にお世話になった『パティスリーキャロリーヌ』では色々な出会いがあり、その後働いた『マテリエル』(大山町)では、実力と職人魂を教わったと思います。師匠の“失敗の先にしか成功はない”という言葉はパティシエである以上、一生大切にしていきたいです」
『ブティック・ユキノシタ』では、まだまだやることが山のようにあるという佐々木シェフ。しかし、多忙を極める中でも挑戦と成長が望めるチャンスはどんどん掴んでいきたい、と語ります。
次の目標は、世界を代表するパティスリーのコンクール『クープ・デュ・モンド』。どんな時でも、前のめりに生きる姿勢はキラキラと輝いています。
新しい活気に満ち溢れた『ブティック・ユキノシタ』。是非皆さんも、鎌倉の生まれ変わった“王道パティスリー”の味を堪能しに来てはいかがでしょうか。
About Shop
la boutique de yukinoshita kamakura(ラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラ)
神奈川県鎌倉市小町2丁目12−25
営業時間:10:00~18:00
定休日:木曜日
園果わたげ
ウフ。編集スタッフ
ufu.の新米編集者。メンズカルチャー誌でアシスタントを経験後ufu.に転身。 特技は甘いものを食べ続けること。最近は美術館内レストランの限定コラボスイーツにハマっている。
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