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創業60年の氷問屋がつくる“本物”のかき氷。三軒茶屋「氷 石ばし」のかき氷が、人々の心をゆさぶるわけ。

創業60年の氷問屋がつくる“本物”のかき氷。三軒茶屋「氷 石ばし」のかき氷が、人々の心をゆさぶるわけ。

夏の風物詩、かき氷。汗が止まらないような暑さの中、しゃりしゃりの冷たいかき氷を食べて身体を冷ます心地よさは、夏の楽しみの一つですよね。今回は、そんな時こそ食べたい昔ながらのかき氷をつくる「氷 石ばし」さんを取材。かき氷も空間も、まるで昭和にタイムトリップしたかのような趣を感じるお店です。

約60年間氷を届け続ける、老舗の氷問屋

創業60年の氷問屋がつくる“本物”のかき氷。三軒茶屋「氷工房 石ばし」のかき氷が、人々の心をゆさぶるわけ。

三軒茶屋駅から徒歩5分程度。首都高の大通りを曲がったところの街道にある「氷 石ばし」。大きな土間空間にガラスの引き戸、暖簾という昔ながらの店構えに、故郷に帰ってきたかのようなほっこり気分になります。

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「石ばし」は創業約60年の氷問屋。今も店番に立つ店主 石橋さんのご主人が創業し、息子さんが後を継いで二代目なのだそう。週に何度か、店の前で仕入れた氷を切り分け、—22℃の冷凍庫で締めた後、お得意先に届けています。

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かき氷を売りはじめたのは約45年前。ご夫婦でお店を切り盛りしていたころ、お母さんがお店で電話番や経理をしていた合間をぬって、夏場にかき氷をつくり始めたのだとか。近隣の人々からじわじわと人気になり、つくり続けて今に至ります。

いるだけで心が静まるような、昭和の雰囲気漂う店内

お店に足を踏み入れれば、そこはまさに昭和のお家。当時そのままの店舗兼住宅の土間部分がお店になっているので、まるで友達や親戚のお家に遊びに来たかのような感覚になります。

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今ではほとんど使っていないそうですが、都内でも見られるのはここだけのとても貴重な手回しのかき氷機「白鶴」も置いてあり、このお店のシンボル的存在に。このお店が今まで乗り越えてきた、長い時間を彷彿とさせます。

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生活スタイルも当時のまま。エアコンや壁付けの扇風機もありますが、風の通りがいいのであまり使っていないそう。心地いい風と日陰の空間という、自然の涼しさを感じながらかき氷を食べることができます。

食べて涼んで、また働く。“本物”のかき氷とは

この空間で約45年もの間かき氷をつくり続けてきた「石ばし」。そもそもかき氷とは?というところから、お話をお聞きしました。

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「かき氷って、真の機能性食品なのよ」と教えてくれた店主。かなり遡れば平安時代の「枕草子」で清少納言も“削った氷”を食べていたそうですが、一般庶民がかき氷を気軽に食べられるようになったのは、明治時代の中頃とのこと。

「氷を食べて身体を冷ますためにできたのがかき氷。エアコンや扇風機がなかったころは、かき氷を一杯食べて涼んで、働いて、また食べて涼んで…の繰り返しだったのよ。その時代は冷蔵庫だってないし、冷たいジュースを気軽に飲むこともできなかったから。

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そんな風に食べられていたから、一度にいっぱい食べるのもよくないし、スッと口の中で氷が溶けるために、色んなものを入れすぎるのもよくない。だから、うちは適度な量で、氷とシロップのシンプルなかき氷をずっと作っているの」

たしかに、石ばしのかき氷は、ぜんぶ食べても「涼しいけど、寒くない」というちょうどいいサイズ。さらに、氷問屋の本物の氷を削り、甘いシロップをかけただけのシンプルさ。これぞ、昔から日本人に食べられてきた、“本物のかき氷”です。

メニューは昔なつかしいフルーツシロップから、お洒落な紅茶までさまざま

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気になるかき氷の味は、定番のレモンやメロンなどのフルーツ系から、南高梅や安納芋、はちみつミルクなどオリジナルのものまで幅広いラインナップ。明朗会計の値段別メニュー表も、昔懐かしくほっこりします。

ちなみに、小学生以下の子には、600円のかき氷は300円にしているそうで、近所のお子さんが小銭を握りしめて食べに来ることもあるのだとか。小さなお店ならではの愛情とサービス精神がたっぷりです。

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今回は、お店で約40年間も女性に一番人気だという「紅茶ミルク」(900円)を頂きました。紅茶シロップをたっぷりかけ、上から甘いコンデンスミルクをかけたお洒落な一品。紅茶の味は濃厚ですがさっぱりで、最後に溶け残ってしまった部分もぺろりと食べられます。

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ちなみに、かき氷は一気につくらず、3回程度にわけて削った氷を積み重ねています。重ねるたびにシロップをかけてくれるので、どの部分から食べてもおいしい。子どものころにかき氷を食べたときの、うれしくて懐かしい気持ちを思い起こさせます。

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もう一つ頂いたのは、こちらも人気の「抹茶あずきミルク」(1200円)。お茶の葉を擂鉢で擦るところからつくった抹茶を上からかけており、一口食べれば抹茶の香りがふわっと口内に広がります。

また、使用している小豆は、何十年も小豆を作っている老舗の小豆。かき氷に合うように店主がアレンジし、さらっとした甘さに。

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かき氷を盛り付けるガラスの器は、お母さんが自ら骨董品屋で買い付けた貴重なもの。この器を取材にしに来るメディアもあるのだとか。

常連の地元客から観光客、そして外国の方など、老若男女に愛されている「氷 石ばし」。昔来ていた子どもが、大人になり夫婦や自分の子どもと訪れることもあるそうで、まさに、ふと帰りたくなるようなお店。この夏は“本物のかき氷”を食べに、昔なつかしいかき氷屋さんに足を運んでみませんか。

About Shop
氷 石ばし
東京都世田谷区三軒茶屋1丁目29−8
営業時間:11:30~18:00
定休日:不定休

まえななさん

まえなな

ウフ。編集スタッフ

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住宅雑誌の編集者を経てufu.編集部に。あんこや抹茶味の和スイーツがとにかく大好き♡ 最近のマイブームはあんバターサンド食べ比べ。